~ “動けない子ども” に寄り添うために〜
こんにちは、よっちゃんです。
私は運動指導の現場に立って30年以上になります。
対象年齢は幅広く、4歳児から高齢の方までたくさんの方々に対して、運動の楽しさや体を動かす大切さを伝えています。
ところで、次のようなことがあなたの現場で起こったことはありませんか?
“レッスンが始まっているのに全く動けなくなってしまう子がいること”
声をかけても、目を合わせても、じっと立ち尽くしている子どもです。
このような時、あなたはどう対応していますか?
以前の私だったら、「どうしたの?」「早くしよう!」と、つい急かしてしまうことがありました。
でも今の私は、まず最初に、”安心してもらうこと” がいちばん大事だと感じています。
全ての子どもに接する場合(未就園児や月齢の低い子、発達障害の特性のある子、グレーゾーンといわれる子など)も同様ですね。
そこで今回は、『安心を届けるサイン』(超重要!)5選 を、お伝えします。
- 成功を “その場で言葉にする” と自信が育つ
- 子どもに合った ”距離” を意識する
- “見通し” があると安心する
- “具体的な伝え方” だと迷わずに動ける
- 大人たちの “関わり方” で行動が変わる
それでは、具体的な経験談をお話しします。
立ち尽くした子ども
ある日の授業でのことです。
ウォーミングアップの合図を出したのに、ひとりの子が動かずに立っていました。
他の子が走り出す中、その子だけが静止したまま。
私はそっと近づいて、少し離れたところで立ち止まりました。
無理に声をかけるのではなく、”ここにいるよ” という気持ちを伝えるように、静かに見守りました。
そして、やわらかく笑いながら、親指で小さく “OK” のサイン。
すると、その子はほんの少し体を揺らして、ゆっくりと動き出しました。
その瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなりました。

あなたにも、似たような経験がありませんか?
安心を届ける5つのサイン
“出来たね” をすぐに伝える
たとえ小さな動きでも、「動けたね!」「今のいいね!」と声をかけると、子どもの表情が少しずつやわらぎます。

子どもにとっては、たったその一言で “わたしは大丈夫” という自信につながっています。
なぜ “すぐに” が重要なのか!(仕組み)
① 行動と評価が結びつく
発達障害の特性のある子は、時間が空くと “何が良かったのか” が、分からなくなりやすい傾向にあります。

行動→すぐに「出来たね!」= この行動が正解!と脳が理解するからです。
② 不安がたまる前に終われる
多くの子は “合っているか分からない状態が一番つらい” ものです。
「出来たね!」をすぐに出すことで、
- “これで終わり!”
- “間違っていない!”

理解の速度が早まり、結果的に安心できます。
遅れると起きやすい問題!
❌ 時間が空いた場合
- 子どもが、次の行動に移ってしまう
- 子どもの記憶に、失敗だけが残る
- 子どもの脳に、”どうせ怒られる” が強化される

そのため、正しい行動が定着しにくい分けです。
タイミングの目安!
⭕️ ベスト!
- 行動が終わった瞬間!
- もしくは、途中でも成功した瞬間!

大人のあなたでも、このタイミングがベストですよね!
指導者にとってのプラス面!(見落とされがち)
- 叱る回数が減る
- 感情が消耗しにくい
- 指導の手応えが分かる

「出来たね!」は子どもだけでなく、あなたをも守ってくれます。
いちばん大切なこと!
「出来たね!」は、褒め言葉ではありません。

“今の行動は正解!” という事実を即座に伝える合図です。

“早く、短く、具体的” に。これが重要です!
それだけで、子どもは安心して次に進めるようになります。
“距離” の取り方を大切にする
発達障害の特性のある子どもは、人との距離にも敏感です。
近づきすぎると緊張し、遠すぎると不安になります。
その子にとって “心地よい距離を見つける” ことです。

これもひとつの “関わりの技術” だと感じています。
心地よい距離とは何か!(定義として)
それは、

“見守られている安心” と “侵入されない安全” が “同時に成り立つ距離”!
だと、考えています。
距離は “何cm” では決めない!
距離は、
❌ 年齢や、学年
では決まりません。

決めるのは “状態” だったり、”活動内容” だったり、”環境”、です。
距離を調整する具体動作!
⭕️ 近づく時
- 目線を下げる
- 体を斜めにする
- 一言予告する 「今から、横に行くね」
⭕️ 離れる時
- 一歩下がる
- 視線を外す
- 何も言わない

重要項目です!現場で実践してみてください。
よくある誤解!
❌ 距離を空けること=無関心
❌ 距離を短くとること=安心

実際には、距離が近いほど不安な子が多いようです。
いちばん大切なこと!
“近づく → 離れる → また戻る”

その微調整そのものが “指導の質” だと感じています。
“心地よい距離” とは、固定するものではなく、揺らすものです。

あなたも実践してみてください。
“次に何をするか” を見せてあげる
「次はボールを持ってね」「終わったらお水を飲もう」と、先の “見通し” を伝えると、子どもは安心して行動できます。

“未来が少しでも見える” と不安が小さくなるのです。
先の見通しは “3点セット” で示す!
- 今、何をしているか
- 次に、何があるか
- いつ、終わるか

この3つを、順番に話ししてあげます。
授業時の具体例
- 今:着替える
- 次:走る
- 終わり:家に帰る

短く・分かりやすくね!
“見通し” があると起きる変化!
- 待てる
- 切り替えられる
- パニックが減る
- 自分で動ける
いちばん大切なこと!
先の “見通し” は、行動をコントロールするための道具ではありません。
安心して今を過ごすための “指導” です。

“短く・具体的・変えない”。たったそれだけで、子どもの世界はぐっと穏やかになります。
“否定” ではなく “次の行動” を促す
❌「違うでしょ!」
⭕️「こっちにしてみようか」
「違う!」と言われると、子どもは何をすればいいのか分からなくなります。

“やってほしい行動を具体的に伝える” ことで “子どもは迷わずに動ける” ようになります。
子どもにとってのプラス面!(行動以外に起きる変化)
① 不安が減る!
子どもは、否定だけだと「何をすれば正解かが分からない」状態になります。
次の行動を示すと、
- 正解が一つに絞られる
- 迷いが消える → 心が落ち着く
② 自己否定が育ちにくい!
「ダメ」が続くと → “自分がダメ” と感じやすい。
行動提示をすると、
- 行動の修正だけ
- 人格を否定しない

このような関わりから、自尊感情が守られます。
③ 成功体験が増える!
否定では “やめる” だけで終わります。
次の行動提示をすることで、
“やる” → “出来る” →「出来たね!」という“成功ループ” が回ります!

われわれが理想とする “ループ” ですね!
④ 自分で考える力が育つ!
最初は “言われた通り” ですが、繰り返すことで「あ、次はこれだ!」と変化します。

つまり、自分で “予測出来る” ようになります。
指導者にとってのプラス面!(見落とされがち)
① 叱る回数が減る!
否定は、繰り返し繰り返し行われます。

具体的な行動提示をすると、1回で済みます!
② 感情が消耗しにくい!
否定は、怒り・焦りの悪循環を呼びます。

行動提示は淡々と伝えられるため、落ち着いて話せます!
③ 指導の手応えが分かる!
“伝えた” → “動いた” という因果が見えやすい。

あなたの指導の軸が、ぶれずに安定します!
関係性におけるプラス面!(これが最重要)
① 指導者(大人)=安全な存在になる!
否定が多い指導者は “止める人” あるいは “怒る人” です。
でも、行動提示の指導者は、”教えてくれる人!” になります。

この差は、ずいぶん大きいですね!
② 指示を聞く準備ができる!
否定され続けると、子どもは耳を閉じます。
でも、行動提示は “聞いても大丈夫!” という経験を積ませます。

“指導の質” の違いが、子どもには分かるんです。
③ 二次障害の予防!
長期的に見ると、“不安障害” や “自己肯定感の低下” を防ぐ効果があります!

あなたも、子どもにとって “安全な存在” でいてくださいね!
否定が必要なときはどうする?

危険な時だけです。
その場合も、
- 「止まる!」
- →すぐに「ここに立つ」
と次の行動で終わらせます。
いちばん大切なこと!
“否定しない” の目的は、子どもとの関係を保つためではありません。

単純に、優しくすることでもありません!
子どもが “正確にたどり着ける道” を “短く・分かりやすく” することです。

結果的として、”安心 → 自立 → 良い関係” へと、全てにつながっていきます。
“指導者(大人)の落ち着き” が安全基地
指導者の “落ち着き、表情、声のトーン”、それが子どもにとっての安全基地になります。
私たちにできることは “動かす” よりも “安心させる” こと。

“出来ない子どもを変える” のではなく、“関わり方を変える” ことが大切なんですね!
そうすることで、”子どもが変わっていく” のではなく、”伝え方” が変わったことで “子どもの力が引き出されていく” のだと思います。

“指導者の落ち着き” というと抽象的に聞こえますが、子どもにとっては “はっきり分かる行動、態度” として体感しています。
声の落ち着き!(最も影響が大)
⭕️ 具体例
- 音量を一定に保つ
- 語尾を上げない
- 早口にならない
❌ NG例
- 感情で、声のボリュームが上がってしまう
- 同じ言葉で、圧を強めて繰り返してしまう

子どもは言葉の内容より、音の安定を受け取ります。
動きの落ち着き!
⭕️ 具体例
- 急に近づかない
- ゆっくり歩く
- 立ち止まってから話す

早い動き=危険信号!と感じやすい子が多いです。
表情の落ち着き!
⭕️ 具体例
- 眉を寄せない
- 口角をわずかにゆるめる
- 見下ろさない

無表情より “穏やかな表情” が安心につながります。
判断がぶれない!(これが “地面” になる)
⭕️ 具体例
- ルールは淡々と守ること
- 例外を感情で変えないこと

大人の一貫性= “子どもの足場” です。
指導者(大人)が “待てる” !
⭕️ 具体例
- 5秒沈黙できる
- 先回りしない
- 失敗を見守れる

急かされない= “安全” です。
困った時の “型” を持っている!
⭕️ 具体例
- いつも同じ言葉
- いつも同じ距離
- いつも同じ対応

予測できる指導者(大人)= “安全基地” です!
安全基地になっている時の子どもの変化!
- 近くに来る
- 話しかける
- 失敗を見せる
- 泣いても戻ってくる

これらは、子どもからの信頼のサインです。
いちばん大切なこと!
“指導者(大人)の落ち着き” とは、何もしないことではありません。

もちろん、感情を抑えることでもありません。
揺れても、戻ってこれる姿を見せることです。
それが子どもにとって “いつでも戻れる場所=安全基地” だということです。

あなたもこれから実践してください。応援しています!
おわりに
子どもが動けないとき、以前の私は “どうしたら動かせるか?” を考えていました。
でも今の私は “どうしたら安心出来るか?” を考えるようになりました。
“強く言うよりもやさしく待つ” “急かすよりもそっと寄り添う”
その積み重ねが、子どもたちの笑顔と成長につながるのだと思います。
子どもたちは、私たちが思っている以上に敏感で、繊細で、そしてしっかりと “大人の気持ち” を感じ取っています。
だからこそ、私もいつも “安心のサイン” を出せる指導者でありたい。そう考えるようになりました。
次回は、”安心のサインをチームや保護者と共有する方法” についてお話しします。
子どもを支えるのは、一人の指導者ではなく “みんなの力” です。
まとめ
- ✅ 成功を “その場で言葉にする” と自信が育つ
- ✅ “子どもに合った距離” を意識することが大切
- ✅ “見通し” があると安心する
- ✅ “具体的な伝え方” だと “迷わずに動ける” ようになる
- ✅ 大人の “関わり方で行動が変わる” ようになる
私と同じように、指導に悩んでいる若い(経験の浅い)先生やコーチの方へ、”ほっとする” ような温かいヒントをお届けできたなら嬉しいです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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