ワーキングメモリとは、
情報を一時的に覚えながら、それを使って考えたり行動したりする脳の働きのことです。
たとえば、あなたの周りの子どもが、
- 道具や指示を、忘れたり
- 説明や手順通りに、動けなかったり
- 活動の途中で、止まったり
することはありませんか?
👉 それは、子どもの理解不足ではなく “ワーキングメモリの渋滞” かも?

子どもが動けないときは、
聞いていないのではなく、頭の中の “作業机がいっぱい” のときがあります。
👉 ここを知ることで、あなたの子どもを見る視点もかなり深くなります。
▶︎ 人は、何歳になっても学び直せます。
私は30年以上現場で指導していますが、子どもに対する見方を間違えていた時期がありました。
脳の “一時的な作業スペース“
ワーキングメモリ (Working Memory) とは、“単なる記憶だけ” ではなく、
- 覚えておく
- 理解する
- 同時に処理する

という、”覚える+考える機能” が合わさっています。
心理学では、認知心理学者の Alan Baddeley が提唱したモデルがよく知られています。
このモデルでは、ワーキングメモリは主に次の仕組みから成るとされています。
音声ループ|言葉の記憶
👉 聞いた言葉を、短時間保持する仕組み
例えば、
- 先生の説明を覚える
- 指示を聞いて行動する
視空間スケッチパッド|見た情報の記憶
👉 位置・動き・形などを、覚える仕組み
例えば、
- ボールの軌道を見る
- 並ぶ位置を覚える
中央実行系|司令塔
👉 情報を整理し、どこに注意を向けるかを決める働き
例えば、
- 話を聞きながら動く
- 複数の情報を整理する
子どもに起きること (ワーキングメモリが小さい場合)

ワーキングメモリの容量には “個人差” があります。
👉 容量が小さいと、例えば次のようなことが起きます。
- 指示を途中で忘れる
- 複数の指示が処理できない
- 話を聞きながら動作を理解できない
- 途中で何をするのか分からなくなる

これは “やる気の問題” ではなく、”脳の処理容量の問題” なんです。
教育心理学では、認知的負荷 という考え方でも説明されています。
運動指導の現場で起きやすいこと
👉 運動指導は実は、ワーキングメモリ負荷が非常に高い活動なんです。
活動中の子どもは、
- 話を聞く
- 動きを理解する
- 体を動かす
- 周囲を見る
- 順番を待つ

という、”複数処理” を同時にこなしています。
そのため、次のようなことが起きます。
👉 よくある場面:
指導者 (先生):
「並んで、そして笛が鳴ったら走って、コーンを回って戻ってきて、次の人にタッチ」
子ども:
「え…? どこまで…? 今…?」

これは、理解していないのではなく “覚えきれない” のです。
運動指導で気を付ける具体例
① 指示は、3つ以内
❌ NG例
「並んで、笛が鳴ったら走って、コーンを回って、戻ってきて、次の人にタッチ」
⭕️ OK例
①並ぶ
②笛で走る
③コーンを回る
② 見せる、を先にする
👉 言葉よりも、動きのモデル。
例えば、
- 先生が実演する
- 上手な子が見本を示す

視覚情報は、ワーキングメモリの負荷を下げるんです。
③ 環境にヒント、を置く
👉 ワーキングメモリは、“外に置く” と楽になります。
例えば、
- コーンでコースを見える化する
- 足形マークを置く
- 色テープを貼る
④ 説明しながら、並ばせない
👉 これは非常に多いです。
❌ NG例
並ぶ → 説明 → スタート

並んでいる間に、”ワーキングメモリが消える” んです。
⑤ 一回やってみる、を入れる
👉 言葉理解より、体験記憶です。
実は大人も同じで、
- 初めてのダンス
- 新しいスポーツ
を体験したときは、「え…? もう一回お願いします」になりますよね。

つまり、子どもに限った問題ではないんです。
指導者の視点!
子どもが、
- 忘れる
- 動けない
- 途中で止まる
👉 それは、理解不足ではなく “ワーキングメモリの渋滞” のときがあります。

子どもが動けないときは、
聞いていないのではなく、頭の中の作業机がいっぱいなんです。
😊 最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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