〜 ワーキングメモリの視点から 〜
運動指導の現場で、よく見かける場面があります。
- 列から出てしまう
- 前の子との間が詰まったり離れたりする
- 途中で別の方向を向く
- 何度声をかけても整列が続かない

そのとき私たちはつい、次のような声をかけてしまいます。
- 「ちゃんと並んで!」
- 「前を見て!」
- 「もう何回言えば分かるの!」

しかし、この “並ぶ” という行動は、
実は子どもにとって、かなり複雑な認知活動なんです。
👉 そしてそこに深く関わっているのが “ワーキングメモリ” なんです。
▶︎ 人は、何歳になっても学び直せます。
私は30年以上現場で指導していますが、子どもに対する見方を間違えていた時期がありました。
並ぶとき、子どもの頭の中では何が起きているか?

子どもは並んでいる間、同時に多くの情報を処理しています。
例えば、
- 自分の立つ位置
- 前の子との距離
- 後ろの子の存在
- 先生の指示
- 周囲の音や動き
- 次に何が始まるのか
👉 つまり “並ぶことは立つだけ” ではなく、
複数の情報を同時に保持し続ける作業なのです。

これはまさに、ワーキングメモリの働きです。
▶︎ もしよければ、こちらの記事も参考にしてみてください。
ワーキングメモリが小さいと起きること

ワーキングメモリの容量には個人差があります。
容量が小さい場合、並ぶ場面では次のようなことが起こりやすくなります。
前の子との距離を覚え続けられない

少し時間が経つと “どれくらい離れていたか” が、頭の中から消えてしまうんです。
👉 すると、
- 近づきすぎる
- 離れすぎる
という状態になります。
指示を保持できない

先生が、「前にならえ」と言ったとします。
しかし数秒後には、その “言葉の記憶が消える” ことがあるんです。
👉 すると、
- 腕を下ろす
- 横を見る
- 動き出す
ということが起きます。
待っている間に目的を忘れる

並ぶ時間が長いほど “何のために並んでいるのか” が、消えてしまうんです。
👉 その結果、
- 列を離れる
- しゃべり出す
- 別の遊びを始める
という行動が出ます。
“並べない子” ではなく “情報を保持し続けるのが難しい子”

ここで大切なのは、”態度の問題” として見ないことです。
👉 その子は “並びたくない” のではなく、
“並び続けるための情報を保持できない” 可能性があります。
▶︎ 関連する内容として、こちらもおすすめです。
運動指導でできる具体的な工夫
位置を見えるようにする

ワーキングメモリは、”外に出す” と楽になります。
👉 例えば、
- 足形マークを置く
- カラーテープを貼る
- フープに入る

“ここに立つ” が見えると、覚え続ける必要がなくなるんです。
並ぶ時間を短くする

並ぶ時間が長いほど、”ワーキングメモリは消耗” してしまいます。
👉 可能なら、
- 説明を短くする
- すぐに実践する
- 小グループに分けて行動する
と効果があります。
距離を身体で覚えさせる

言葉よりも体感です。
👉 例えば、「手を伸ばして前の子の肩に届かないくらい」

身体感覚にすると、”記憶の負担” が減ります。
並び方を一度 “体験”させる

説明よりも、一度やってみる。
👉 これだけで理解が大きく変わります。
▶︎ 関連する内容として、こちらもおすすめです。
指導者の見え方が変わるとき
子どもが列から離れたとき、それは、
- ルールが守れない
- 落ち着きがない
のではなく、“頭の中の作業机がいっぱい” なんです。
👉 そして、そう考えると指導の言葉が少し変わります。
「ちゃんと並んで」ではなく、「ここに立つと分かりやすいね」。

並ぶことは単純な行動のように見えて、
実は、認知の力と環境の支えで成り立っている行動なんです。
👉 子どもが並べないとき、それは
“できない子” なのではなく、私たちがまだ “支え方を見つけていない子” なんです。
😊 最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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