第2シリーズ第1回
こんにちは、よっちゃんです。
私は30年以上にわたり、4歳児から高齢の方々に対して、運動の楽しさや体を動かす大切さを伝えています。
長年の経験を重ねる中で、発達障害やグレーゾーンの子どもへの対応に悩み、 ときに強い口調で接してしまったこともありました。
しかし、”安心を伝える事” が大切だと分かったあと、次に訪れたのは「じゃあ、どうすればいいのだろう?」という戸惑いでした。
気づいたことを “知っている” だけでなく、実際の現場で “出来るようになる” までには、もうひとつの壁があります。
あなたも今、この壁に悩んでいませんか?
そこで今回、『 “やってみる” ことから始めた最初の実践』(重要!)3選 を、お伝えします。
- 安心は “トーン” だけでも作れる
- “でも” が入る経験は、安心を残す
- “挑戦” は競争からではなく、安心から生まれる
それでは、具体的な経験談をお話しします。
“声のトーンを下げてみる” ただそれだけ
ある日の運動教室。
子どもたちがざわついていて、列もバラバラ。
以前の私ならすぐに、「静かに!並んで!」と大きな声を出していたでしょう。
でもその日は、一度深呼吸をして、少し低く、穏やかな声でこう言いました。
「準備できた人から、こっちで待っててね。」
たったそれだけのことなのに、ざわつきが少しずつ落ち着いていくのを感じました。
全員がピタッと動いたわけではありません。でも、”怒られた空気” にはならなかった。
その瞬間、”安心は、トーンでも作れるんだ” と実感しました。
発達障害の特性をもつ子どもは、”音や刺激に敏感(聴覚過敏)”であったり、“強い口調=怒られている” と受け取りやすい傾向にあります。

そのため “内容” よりも “声の質” に強く反応することがあります。
ルール説明が入らない子!
場面:ボール運動の前に説明をしている
❌ 高めで張った声
「ちゃんと聞いて!今から大事な話するよ!」
運動前はすでに覚醒レベルが上がっています。
そこへ強い声が入ると、
- 興奮がさらに上がる
- 注意が散る
- “怒られた” に意識が向く
結果、話が頭に入らない。
⭕️ トーンを下げる(少し低く、ゆっくり、間を取って)
「今から…ひとつだけ…大事なことを言うよ」

声が落ち着くと、空気も落ち着きます。子どもは無意識に “音の高さ” に同調します。
声のボリュームを上げるより、下げる方が集まることがあるんです。
出来なくて固まる子!
場面:跳び箱の前で動けなくなっている子
❌ 励ますつもりの強い声
「大丈夫!いける!ほら、ジャンプ!」
本人の中では、”怖い+注目されている” で処理が追いつかない状態。
⭕️ 低く、近くで(しゃがんで目線を合わせ、少し低い声で)
「怖いよね。ゆっくりでいいよ。」

低い声は、”安心、共感、待ってもらえる感覚” を伝えます。
すると、呼吸が整い、自分から一歩出ることがあります。
興奮が止まらない子!
場面:鬼ごっこ後に切り替えられない子
❌ 正論、または説教
「もう終わり!早く並んで!」
さらに、その子のテンションが上がります。
⭕️ トーンを下げる(間を置き、低めで)
「終わり。今は、歩くよ」

低い声は、”指示” よりも “合図” として届きやすいのです。
運動指導者として!(重要)
- 声は “音の刺激”
- 高い声=覚醒を上げる
- 低い声=覚醒を下げる
- 落ち着いてほしい時ほど、トーンを下げる

運動指導者は子どもと身体を通して関わるため、技術よりも “場の空気を整える力” が影響を与えます。
実は、指導がうまくいったのではなく “子どもの脳が処理しやすくなった” ということが多いのです。
うまくいかなかった日も、宝物だった
もちろん、いつも上手くいくわけではありません。
“優しく言ったのに伝わらない” と感じて、また強く言ってしまう日もありました。
でも、そんな日こそ学びがあります。
落ち着いてから子どもに「さっきの先生の言い方、どうだった?」と聞くと、ある子がこんなことを言いました。
「先生、ちょっとこわかった。でもすぐやさしくなったから、大丈夫だった。」
その言葉に、”怖かったけど、戻れた” という安心もあるんだと気づきました。
子どもたちは、私が完璧であることを望んでいない。
“戻ってくれる先生” であれば、それで十分なんだと思えました。
ここにある大事なこと!
今の言葉には、二つの意味があります。
① 「怖かった」と言えたこと
怖さを感じたことを、安心できる相手に表現できた。

これは、“関係が切れていなかった証拠” です。
② 「でも、大丈夫だった」
強い声があっても、
- その後に戻ってきてくれた
- 優しい声に戻った
- 見捨てられなかった
子どもの中で “怖くても、関係は壊れない” という経験が残ります。

これは、“情緒の安定や対人信頼の土台” になります。
発達特性のある子にとって特に大切な理由!
発達特性をもつ子どもは、
- 声の変化に敏感
- 感情の揺れを強く受け取る
- “怒られた = 嫌われた” と結びつきやすい
だからこそ、”強い口調になってしまった後に、戻れること” が大切なのです。

これは “非常に重要なこと” です!
育っているのは…、実は!
- 自分の感情を言葉にする力
- 相手を信頼する力
- 関係は修復できるという感覚

「さっきの言い方どうだった?」と聞いたこと自体が、”指導” ではなく “関係を育てる関わり” になっています。
「怖かった、でも戻れた」
この “でも” が入る経験は、子どもの中に静かな安心を残します。
「出来た!」より、「落ち着いて出来た!」
最近は練習の中で、”うまく出来たか” よりも、”落ち着いて出来たか” を大切に見るようになりました。
失敗しても、自分で気持ちを立て直せたとき、「今の、いいね」と声をかけます。
すると、子どもが照れくさそうに笑って、もう一度チャレンジしてくれることがあります。
“出来る” より、”安心して出来る”。
それが、本当の意味での成長なのかもしれません。
具体例:跳び箱の場面!
何度か挑戦して、足が引っかかり失敗。
周りの子は成功している。以前なら、「もう一回!次はいける!」と “成功” に目を向けていたかもしれません。
でも今は違います。
失敗したあと、子どもが深呼吸をして、少し間を置いて、もう一度並び直しました。
その姿に対して、低く穏やかに「今の、いいね」と言います。
子どもは一瞬きょとんとして、少し照れながら笑います。
褒められたのは “跳べたこと” ではなく、“気持ちを立て直したこと” だったのです。
ここで育っているのは、”技術” ではなく、”自己調整力” と “安心の中での再挑戦” です。

すると、不思議と何度も何度も挑戦します。
具体例:ボール投げ!
うまくまとに当たらず、悔しくて顔が曇る子。
ボールを投げ捨てそうになるけれど、ぐっと握り直しました。その瞬間に、「今、自分で戻れたね」と言葉をかけます。
すると子どもは、照れくさそうに「うん」と小さく笑いました。

その笑顔は、”できた喜び” よりも深いものですね!
なぜ “安心して出来る” が大切なのか!
発達特性のある子どもは、
- 失敗体験が積み重なりやすい
- 周囲と比べられやすい
- “できない自分” を強く意識しやすい

だからこそ、”成功体験” よりも “安心体験が土台” になります。
- 「失敗しても大丈夫」
- 「気持ちは戻せる」
- 「ここでは急がなくていい」

この感覚があると、挑戦は “怖いもの” ではなくなります!
本当の成長とは!
“出来る” は結果。”安心して出来る” は土台。土台があるから、失敗しても崩れない。

我々が見ているのは、子どもの “技術” ではなく、その子の “内側の動き” です。
そして子どもは、”出来たから褒められた” ではなく “自分を見てもらえた” と感じている。
だから照れくさく笑い、もう一度チャレンジする。
それは、競争ではなく、安心から生まれる挑戦。

これが、本当の意味での成長です!
おわりに
「やってみよう」から始まったこの実践は、まだまだ途上です。
でも、少しずつ現場の空気が変わってきました。
怒鳴らなくても伝わる。待てば動く。そんな小さな奇跡が、あちこちに生まれています。
これからも、試行錯誤を続けながら、”安心を届ける指導” を形にしていきたいと思います。
まとめ
- ✅ 安心は “声のトーンを下げる” だけで作れる
- ✅ “でも” は、相手を信頼している証拠
- ✅ 安心して出来る土台があるから “挑戦” は生まれる
次回予告(第2回)
“ことばより伝わる空気、場づくりの工夫”。子どもたちが安心して活動できる “空気のデザイン” についてお話しします。
このブログでは、現場での気づきや改善の工夫、子どもたちとの温かいやり取りを通して、”寄り添う指導” のあり方を考えていきます。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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