第5回:自分で見つける安心

発達の凸凹な子どもたち

〜 “出来た!” を育てる関わり 〜


こんにちは、よっちゃんです。

私は運動指導の現場に立って30年以上になります。
対象年齢は幅広く、4歳児から高齢の方までたくさんの方々に対して、運動の楽しさや体を動かす大切さを伝えています。

突然ですが、あなたが接している子どもたちの “安心出来る環境” とは、誰が作っているのか考えてみてください?

どうですか?

おそらく “保護者の方や、先生、友だち、周りの大人の方” と考えますよね?
ところが、最近子どもたちを見ていて感じることは、”安心は自分の中で育っていくもの” なんだということです。

大人が届けるものと考えていましたが、そうでもないのです。

そこで今回は、『子どもが自分で “落ち着ける、動ける” ようになる』(超重要!)3選 を、お伝えします。

この記事を読んで分かること
  1. 子どもが安心出来る “環境、関わり方” を整える
  2. 成功をその場で言葉にすることで “自己肯定感が育つ”
  3. 成功も失敗も “成長の一部” として扱う

それでは、具体的な経験談をお話しします。

19〜28分

ある日の授業中に、課題がうまくいかなくて泣きそうになっている男の子がいました。
以前の私だったら、「大丈夫!もう一回やってみよう!」と励ましていたと思います。

でもその日は、少しだけ違う言葉をかけてみました。

「どうしたいのかな?」男の子はしばらく考えてから、「少しお水飲みたい!」と言いました。
私は、「いいね!」「それがいいね」と伝えました。

お水を飲んだあと、男の子は自分からボールを取りに行き、何事もなかったかのように練習を再開しました。
その背中を見ながら、”ああ、自分で安心のスイッチを押せたんだな” と、思いました。


「どうしたい?」と聞く

すぐにアドバイスをするのではなく、自分で “選ぶチャンス” を与えることが大切です。
「少し休みたい」「場所を変えたい」「他の練習がしたい」

よっちゃん
よっちゃん

これは “自己調整(セルフレギュレーション)” と呼ばれています。“自己調整” とは、大人が先回りして正解を教えることではなく、選べる余地を “用意すること” なのです。

とても高度な指導技術です。


感情が高ぶっている時は?

❌ すぐにアドバイスをする例

  • 「落ち着きなさい
  • 「深呼吸して
  • 「そういう言い方はダメ
よっちゃん
よっちゃん

感情がピークの時には、言葉の処理が難しく、逆効果になります!

⭕️ 自分で選ばせる関わり方

  • 「今どうしたい? ① 少し一人になる ② ここに座る ③ 外の空気を吸う」
  • 「指差しで選んでいいよ!」
よっちゃん
よっちゃん

感情をコントロールする方法を “選択する経験” によって学びます。

それが、”自己調整” につながるんです。


課題に取り組めない時は?

❌ すぐに支持をする例

  • 「早くやりなさい
  • 「集中しなさい
  • 「この順番でやって

⭕️ 自分で選ばせる関わり方

  • 「どこからやる? ① 簡単な練習 ② 好きな練習 ③ 5分だけやる」
  • 「今は、① 一人でやる ② 先生に横にいてもらう。どっちがいい?」

“やる・やらない” ではなく、”どうやるか” を選ばせるのがポイントです。


失敗したあとは?

❌ すぐに解決策を与える例

  • 「次はこうしなさい
  • 「こうすれば良かったでしょ

⭕️ 自分で考えさせる関わり方

  • 「次はどうしたいと思う?」
  • 「同じことが起きたら、① 先生に聞く ② メモを見る ③ 友達に聞く。どれが良さそう?」
よっちゃん
よっちゃん

“失敗=修正できるもの” と学びます。

これも、”自己調整” につながるんです!


ルールや行動を守れなかった時は?

❌ 説教、または正論

  • 「約束でしょ
  • 「なんで守れないの

⭕️ 振り返りを一緒に学ぶ

「次はどうする? ① タイマーを使う ② 声をかけてもらう ③ 紙に書いておく

よっちゃん
よっちゃん

“守れなかった” よりも、”次はどう工夫するか” に焦点を当てます。


自己調整を育てるための大切な前提!

  • 正解は一つにしないこと
  • 選択肢は2〜3個まで(多すぎないこと
  • 選んだ結果がうまくいかなくても責めないこと
  • 「選んだね」「決められたね」とプロセスを承認すること

自己調整とは “我慢できること” ではありません。

よっちゃん
よっちゃん

今の自分の状態に気づいて、助け方・やり方を “選べること” です。


“出来た瞬間” を一緒に喜ぶ


「自分で落ち着けたね!」
「自分から戻れたね!」
「自分からお手伝い出来たね!」
と伝えることで子どもは、”自分で出来るんだ” という感覚を積み重ねていきます。

“出来て当たり前” という接し方は ❌ にしてください。


小さな “出来た” を見逃さずに共有する!

例:身支度が苦手な子

  • 靴を左右間違えずに履けた
  • 上着のチャックを正しく上げられた

関わり方

  • 「今、自分でここまで出来たね!」
  • 「前は手伝ってたところ、今日は一人でやれたね!」

結果よりも、”自分でやった部分を言葉にする” ことです。

すると、子どもにとっての達成感が “明確” になります!


大人の評価ではなく、事実を一緒に確認する!

❌ よくある褒め方

  • 「えらいね〜!」
  • 「すごいね〜!」

⭕️ 自己効力感につながる声かけ

  • 「最後までやるって決めて、本当に終わらせたね!」
  • 「途中でやめたくなったけど、続けるって選んだね!」
よっちゃん
よっちゃん

「すごい!」よりも “何が起きたかを一緒に振り返ること” が重要です!


子ども自身に「出来た!」を言語化してもらう!

例:課題が終わったあと

  • 「今日は何が出来たと思う?」
  • 「前と比べて、どこが変わったかな?」

言葉が難しい子には

  • 「① 自分でやった ② 少し手伝ってもらった ③ ほとんど手伝ってもらった」などの選択肢を提示します。
よっちゃん
よっちゃん

子ども自身で発声し、何が出来たかを確認する作業です。

このようにアウトプットすることで、脳に記憶されていくんですね!


感情と成功体験を結びつける!

例:苦手な課題が出来たあと

  • 「今、体はどんな感じ?」
  • 「ドキドキしたけど、終わったね!」

その上で、

  • 「ドキドキしてても、出来たね!」
よっちゃん
よっちゃん

“不安があっても出来る” という感覚が育ちます。


大人が “一緒に喜ぶ” 姿勢をはっきり示す!

例:片づけが出来たとき

  • 笑顔で目線を合わせて
  • 小さくガッツポーズ
  • 「今の嬉しいな!片づけ出来たね!」

過剰に盛り上げずに、感情を共有する程度が効果的です。


失敗があっても “出来た部分” を残す!

例:途中で集中が切れた

  • 「全部は出来なかったけど、5分は集中できたね!」
  • 「前より長く座れたよ!」
よっちゃん
よっちゃん

“成功や失敗” ではなく、連続性のある成長として経験を保存します。


次の挑戦につなげる一言!

出来た直後に、

  • 「次はどうしたい?」
  • 「同じやり方で、また出来そう?」

“また出来そうという予感” が、自己効力感を強化するんですね!


大切な考え方!

  • 出来た瞬間、間を空けずに共有すること
  • 抽象的な称賛より、具体的な事実を伝えること
  • 大人が評価者にならないこと
  • 子ども自身が “自分で気づく” 手助けをすること
よっちゃん
よっちゃん

自己効力感は “成功体験の数” だけではありません。

“成功をどう意味づけてもらったか” で決まるんです!


失敗しても “戻れる” ことを教える

失敗したあとも、「もう一度やってみる?」「次はうまく出来るよ!」と迎えてもらえる経験が、次の挑戦への安心を育てます。

よっちゃん
よっちゃん

大切なのは、”失敗しないこと” よりも “戻ってこれること” です。

つまり、つまづいても自分を立て直せるという感覚(回復可能性)を、体験として残すことだといえます!


感情が爆発した後に “終わらせ方” を教える!

場面:怒って大声を出した

❌ よくある対応

  • 「もうダメでしょ
  • 「さっきの態度は許されない

⭕️ 戻ってこれる関わり

  • 落ち着いた後に「今、ここに戻ってきたね!」
  • 「さっきは大変だったけど、今は話せるね!」
よっちゃん
よっちゃん

問題行動ではなく “回復出来た瞬間” を可視化します。


パニック後の “再参加” を成功体験にする!

場面:授業中にその場から飛び出した

❌ よくある対応

  • 「最後までいられなかった!」

⭕️ 戻ってこれる関わり

  • 「途中で外に出たけど、戻ってこられたね!」
  • 「戻るタイミング、自分で決められたね!」

 

戻った事実そのものを “成功” として扱うのがポイントです!


課題を投げ出した後に “続きから” を用意する!

場面:課題を途中でやめた

❌ よくある対応

  • 「最初からやり直し!」

⭕️ 戻ってこれる関わり

  • 「今日はここまで出来たね!」
  • 「続きは今度ね!どこからやる?」
よっちゃん
よっちゃん

リセットではなく “継続を前提にすること” で、失敗への恐怖が下がります。


“やり直せる選択肢” を最初から提示する!

場面:授業や課題の前

  • 「途中で止まってもいいよ!」
  • 「一度座って、また続けてもいいよ!」

最初から “逃げ道” を許可すると、挑戦しやすくなります!


大人が “戻ってくるモデル” を見せる!

場面:大人自身が失敗した時

  • 「あ、間違えた!最初からやり直すね!」
  • 「一回止めて、また始めるよ!」
よっちゃん
よっちゃん

失敗 → 調整 → 再開を、言語化してみせます。


「失敗」ではなく「中断」という言葉を使う!

❌ よくある言葉

  • 「失敗した」

⭕️ 戻ってこれる言葉

  • 「途中で止まった」
  • 「一回休憩した」
よっちゃん
よっちゃん

言葉そのものが経験の意味を決めるため、回復可能な表現を選びます。


戻れた回数を積み重ねて振り返る!

振り返りの例

  • 「今日は2回戻ってこれたね!」
  • 「前より早く戻れたね!」

完璧さではなく、回復の上達に目を向けよう!


大切なメッセージ!(子どもに伝わる形)

  • 失敗しても、居場所はなくならない
  • 途中で止まっても、続きはある
  • 戻ってきたら、またやり直せる
よっちゃん
よっちゃん

“失敗しない子” を育てるのではなく “崩れても立て直せる子” を育てます。

これは、発達障害の特性の有無に関わらず、生涯役に立つ力です


安心を与えることから始まったこの “学びの旅”。

気づけば、子どもたちは少しずつ、自分で安心を見つけられるようになっていました。
私たち大人が出来るのは、その “見つける力” を言じて待つこと。

そして、見つけた瞬間を見逃さずに 「それでいいよ!」と伝えること。

“安心のスイッチ” は、私たちが押してあげるものではなく、子ども自身が見つけて押すもの。
その手助けをするのが、運動指導者としての大切な役目なのだと実感しています。


次回は、これまでの掲載5回分をひとつの流れとして再構成した “特別版(シリーズまとめ)記事” で振り返ります。


  • 子どもが安心出来る “環境・関わり方” を整える
  • 成功をその場で言葉にすることで “自己肯定感” が育つ
  • 成功も失敗も “成長の一部” として扱う

私と同じように、指導に悩んでいる若い(経験の浅い)先生やコーチの方へ、”ほっとする” ような温かいヒントをお届けできたなら嬉しいです。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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