ワーキングメモリとは?

生きづらさ

“情報を一時的に覚えながら、それを使って考えたり行動したりする脳の働き” のことです。

6〜8分

ワーキングメモリ(Working Memory)とは、単なる “記憶” だけではなく、

  • 覚えておく
  • 理解する
  • 同時に処理する

という “覚える+考える” 機能が合わさっています。

心理学では、認知心理学者の Alan Baddeley が提唱したモデルがよく知られています。
このモデルでは、ワーキングメモリは主に次の仕組みから成るとされています。


音声ループ(言葉の記憶)

聞いた言葉を 短時間保持する仕組み

例えば、

  • 先生の説明を覚える
  • 指示を聞いて行動する

視空間スケッチパッド(見た情報の記憶)

位置・動き・形などを覚える仕組み

例えば、

  • ボールの軌道を見る
  • 並ぶ位置を覚える

中央実行系(司令塔)

情報を整理し、どこに注意を向けるかを決める働き

例えば、

  • 話を聞きながら動く
  • 複数の情報を整理する

子どもに起きること(ワーキングメモリが小さい場合)

ワーキングメモリの容量には個人差があります。
容量が小さいと、例えば次のようなことが起きます。

  • 指示を途中で忘れる
  • 複数の指示が処理できない
  • 話を聞きながら動作を理解できない
  • 途中で何をするのか分からなくなる
よっちゃん
よっちゃん

これは “やる気の問題ではなく、脳の処理容量の問題” です。

教育心理学では、「認知的負荷(Cognitive Load)」という考え方でも説明されています。


運動指導の現場で起きやすいこと

運動指導は実は、ワーキングメモリ負荷が非常に高い活動です。
子どもは同時に、

  • 話を聞く
  • 動きを理解する
  • 体を動かす
  • 周囲を見る
  • 順番を待つ

という、複数処理をしています。
そのため次のようなことが起きます。

よくある場面:

指導者(先生):
「並んで、そして笛が鳴ったら走って、コーンを回って戻ってきて、次の人にタッチ」

子ども:
「え?どこまで?今?」

よっちゃん
よっちゃん

これは、理解していないのでは無く、覚えきれないのです。


運動指導で気を付ける具体例

① 指示は “3つ以内”

❌ NG例
 「並んで、笛が鳴ったら走って、コーンを回って、戻ってきて、次の人にタッチ」

⭕️ OK例
 ①並ぶ
 ②笛で走る
 ③コーンを回る


② “見せる” を先にする

言葉よりも、動きのモデル。

例えば、

  • 先生が実演
  • 上手な子が見本

視覚情報は、ワーキングメモリの負荷を下げます


③ 環境に “ヒント” を置く

ワーキングメモリは、外に置くと楽になります

例えば、

  • コーンでコースを見える化
  • 足形マーク
  • 色テープ

④ 説明しながら並ばせない

これは非常に多いです。

❌ NG例
 並ぶ → 説明 → スタート

並んでいる間に、ワーキングメモリが消えます


⑤ “一回やってみる” を入れる

言葉理解より、体験記憶

実は大人も同じで、

  • 初めてのダンス
  • 新しいスポーツ

を体験した時は、「え?もう一回お願いします」になります。
つまり、子どもだけの問題ではありません。


指導者の視点

子どもが、

  • 忘れる
  • 動けない
  • 途中で止まる

それは、“理解不足ではなくワーキングメモリの渋滞” の場合があります。

子どもが動けなは、”聞いていない” のではなく頭の中の作業机がいっぱいなのかもしれません。


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