“待てない子” の本当の理由

生きづらさ

〜 ワーキングメモリと時間の見通し 〜

6〜9分

あなたの現場でも、こんなシーンがよくあると思います。

順番を待っている子どもが、

  • 列から出てしまう
  • 前の子を追い越す
  • 別のことを始める
  • 「まだ?」と何度も聞く

その様子を見ると、
「もう少し待てないの?」「順番でしょう」と声をかけたくなります。

けれども、子どもにとって “待つ” という行動は、実はとても難しい活動です。
そしてその背景には、“ワーキングメモリ” “時間の見通し” が関係していることがあります。


子どもが順番を待つ時、頭の中では次のようなことが同時に起きています。

  • 自分の順番を覚えておく
  • 今どこまで進んでいるかを見る
  • 何のために待っているかを覚えておく
  • まだ動かないように自分を抑える

つまり “待つ” という行動は、“情報を保持しながら、行動をコントロールする” という作業です。
ここで働いているのが、“ワーキングメモリ” です。


ワーキングメモリの容量が小さい場合、待つ場面では次のようなことが起きやすくなります。

“何を待っているか” が消える?

少し時間が経つと、”順番を待っている” という目的が、頭の中から消えてしまいます。
すると、

  • 列を離れる
  • 別のことを始める

という行動が起きます。


自分の順番を覚えていられない?

待つという行動には、

  • 自分は何番目か?
  • どこまで進んだか?

という情報を保持する必要があります。
これが難しいと、

  • 追い越してしまう
  • 途中で前に出る

ということが起きます。


時間の長さを感じにくい?

子どもはそもそも、“時間の見通し” を持つことが得意ではありません。
さらにワーキングメモリの負担が大きいと、”あとどれくらい待つのか” が分からなくなります。

すると不安が生まれ、

  • 「まだ?」
  • 「いつ?」

という言葉や行動になります。


よっちゃん
よっちゃん

ここで大切なのは、行動をそのまま評価しないことです。

その子は、待とうとしていないのではなく、“待つための情報を保持し続けることが難しい” のかもしれません。


順番が見えるようにする!

ワーキングメモリは、外に出すと楽になります
例えば、

  • 番号マーカー
  • 並び順カード
  • コーンで位置を区切る

待つ人数を減らす!

待つ人数が多いほど、見通しは難しくなります。

  • 小グループに分ける
  • 同時に複数スタートにする

と効果があります。


“あとどれくらい” を見せる!

時間が見えないと不安が強くなります。
例えば、

  • 「あと2人」
  • 「あと1回」
  • 「次があなた」

この一言だけで落ち着く子は多いです。


待つ時間を短くする!

子どもにとって、長く待つこと自体が大きな負担です。
可能であれば、

  • 回転を早くする
  • 説明を短くする
  • 同時活動を増やす

と効果があります。


子どもが待てない時、それは、

  • 我慢が足りない
  • 落ち着きがない

のではなく、
もしかすると、“時間の見通しが持てず、頭の中の情報が消えてしまっただけ” なのかもしれません。


「待ちなさい」と言う代わりに、「あと二人で順番だよ」と伝える。
その小さな違いが、子どもにとっての分かりやすさになります。


子どもが待てない時、それは “出来ない子” なのではなく、“私たちがまだ見通しを渡せていないだけ” なのかもしれません。


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