第3期 第2回 コラム記事

ひとことコラム

『 「ちゃんとして」の裏側で、困っていた子どもたち 』
〜 よっちゃんの ひとことコラム 〜


「ちゃんとして!」

現場でも、家庭でも、つい出てしまう言葉です。
もちろん、大人は困らせようとして言っているわけではありません。

  • 周囲に迷惑をかけないように
  • 今やるべきことを伝えようとして
  • 子どもに成長してほしくて

そんな思いの中で、自然に出てくる言葉なのだと思います。

でも私は、長年子どもたちと関わる中で、
その「ちゃんとして」が分からず、

立ち止まってしまう子どもたちに、たくさん出会ってきました。


ある日、体育館でのことでした。

「ちゃんと並んでね」
そう声をかけると、周囲の子は並び始めました。

でも、一人の男の子だけが動けません。
先生の声が少し強くなります。

「早く!」
けれど、その子はさらに固まっていきました。

後から話を聞くと、その子は、
「どこに並ぶのか分からなかった」のです。

  • 何列なのか
  • 誰の後ろなのか
  • ここで合っているのか

頭の中で情報が整理できず、不安で動けなくなっていたのでした。


私はこのような場面を、何度も見てきました。

「ちゃんと片づけて」と言われても、

  • 何から始めればいいのか分からない子

「落ち着いて」と言われても、

  • どうすれば “落ち着いた状態” なのか分からない子

「空気読んで」と言われても、

  • 何をすればいいのか分からず、不安になる子

周囲からは、

  • わがまま
  • 反抗
  • やる気がない

このように見えてしまうことがあります。

でも実際には、
大人を “困らせている” のではなく、”困っている” ことがあるんです。


もちろん、保護者の方も苦しいと思います。

  • 何度言っても伝わらない
  • 周囲の目も気になる
  • 時間もない

気づけば、「ちゃんとして!」という言葉が増えてしまう。

  • 本当は怒りたいわけじゃない
  • でも、どう伝えればいいのか分からない

そんな悩みを抱えながら、毎日向き合っている方も多いのではないでしょうか。


だから私は、「子どもを変える」より先に、
“伝え方を整えることが大切” なのだと思っています。

例えば、「ちゃんとして」ではなく、

  • 「イスに座ろう」
  • 「先生を見よう」
  • 「赤い線の後ろに並ぼう」

そんなふうに “見える言葉” に変えていく。
すると、不安そうだった子どもの表情が、少しずつ変わることがあります。


以前、縄跳びの練習で止まってしまっていた子がいました。

  • 何度挑戦しても、身体が動かない
  • 周囲の子はどんどん進んでいく

その子は下を向き、今にも泣きそうでした。
そこで、「まず一回またいでみよう」と声をかけました。

すると少しだけ動けました。
次に、「今のタイミング良かったよ」と伝えると、小さくうなずきました。

そして最後に、その子は小さな声で、「…もう一回やる」と言ったのです。
私は今でも、その瞬間を覚えています。

「できた!」より先に、「やってみたい!」が戻ってきた瞬間だったんです。


発達特性のある子どもたちは、
「ちゃんとできない子」なのではなく、

“分かり方”“感じ方” が違うことがあります。

だからこそ、「どうしてできないの?」ではなく、
「どうしたら伝わるかな?」という視点が、安心につながっていくのだと思います。


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