『 なぜ急にできなくなるのか?発達特性のある子どもの “波” の正体! 』
〜 運動指導の見え方がかなり変わる (4)〜
「昨日はできたのに、今日はできない」
発達特性のある子どもを指導していると、
この場面に何度も出会いますよね?
さっきまでうまくいっていたのに、急に崩れる。
練習ではできたのに、本番になるとできない。
そのたびに、
“どうして安定しないのか” と悩むこともあるかもしれません。
しかし、この “できる日、できない日” の波は、
気分ややる気の問題ではありません。
そこには、脳の働き、感覚の負荷、環境との相性、安心感など、
いくつもの要因が関係しています。
そこで今回は、
発達特性のある子どもに起こる “波” の理由を整理しながら、
指導者としてどのように向き合えばよいのかを解説します。
脳の処理は “常に一定” ではない
発達特性のある子どもは、脳の働き方に偏りやゆらぎがあります。
・注意の向きやすさ
・情報の処理速度
・感覚の受け取り方
これらは、日によってだけでなく、
同じ日の中でも大きく変わることがあります。
つまり、
“できない” のではなく、
その瞬間は “処理が追いついていない状態“
なのです。
感覚の負荷は目に見えない
私たちが気づかないところで、
子どもは多くの刺激を受けています。
・周りの音
・人との距離
・身体への接触
・光や空間の広さ
こうした感覚の負荷が積み重なると、
脳はそれだけでエネルギーを使い切ってしまいます。
その結果、
“昨日はできたことが、今日はできない”
という状態が起こります。
“できた” は再現できるとは限らない
一度できたことは、
次もできるとは限りません。
特に発達特性のある子は、
・無意識に出来た
・偶然条件がそろった
・周囲のサポートが自然に合っていた
こうした要因で、
“できた” ことが多くあります。
つまり、
“できた経験” と “できる力” は、
まだ一致していない段階とも言えます。
安心感の揺らぎがパフォーマンスを変える
子どもはとても繊細に、
その場の空気を感じ取っています。
・今日は怒られそうな雰囲気
・周りと比べられている感じ
・失敗出来ない空気
こうしたわずかな緊張が、
身体の動きや判断に大きく影響します。
逆に言えば、
“安心できる日は、力を出しやすい”
ということです。
現場でよくある瞬間
・練習ではできたのに、本番で崩れる
・一人だとできるのに、集団になるとできない
・調子がいい日は驚くほどスムーズにできる
これらはすべて “気分” ではなく、
条件の違いによって起きている現象です。
指導者(コーチ)ができること
この “できる日、できない日” に対して、
最も大切な視点はひとつです。
“安定させようとしすぎないこと”
大事なのは、
・できない日を責めない
・波があることを前提にする
・できた日を丁寧に積み重ねる
そして、
“今日はできない日かもしれない”
と受け止める余裕です。
おわりに
子どもは、
いつも同じ状態で立っているわけではありません。
見えないところで、
調整し、踏ん張り、バランスを取っています。
その中で、
できる日もあれば、できない日もある。
それは後退ではなく、
揺れながら進んでいる証拠です。
まとめ
私たちにできるのは、
その波を無理に消すことではなく、
波の中でも安心していられる場所を作ること
なのかもしれません。
子どもは、
できない日を重ねながら、
できる日へと近づいていきます。
次回は、
“発達特性のある子が安心する、指導者の共通点” をお話しします。
これは、長く子どもと関わってきた指導者ほど、
「なるほど」と感じる内容だと思います。
若いあなたにも、是非とも読んでいただきたいです。


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