“叱る指導” から “安心を整える指導” へ

発達の凸凹な子どもたち

〜 30年の現場で見えた子どもが伸びる本質 〜
【全6回シリーズ・子どもとの関わり方】第2期 第6回


こんにちは、よっちゃんです。

私は運動指導の現場に立って30年以上になります。
4歳児から高齢の方々まで、幅広い世代と関わってきました。

長く子どもたちと向き合うほど、こう感じる場面が増えます。

“昔の私だったら、きっと叱っていたな”
“でも今なら、立ち止まって見られる”

その変化こそ、子どもたちが私にくれた “学び” でした。
教える立場でありながら、教えられてきたことの方がずっと多かったのです。

この記事では、私がたどり着いた “指導の本質” を、4つの柱としてまとめます。


正直に言えば、今でも思い出す場面があります。

うまくできない子に、強い口調で言ってしまった日。
その子の表情が、すっと固まった瞬間。

あの時、私は「正しいこと」を言っていました。
でも、その子にとっては、”安心を失った瞬間” だったのかもしれません。

時間は戻りません。
けれど、その経験があったからこそ、今の私は立ち止まれるようになりました。

もし今、同じように迷っている人がいるなら。
その迷いは、きっと次の優しさにつながっていきます。

 ✔︎ この記事で分かること 
  1. 指導とは “正しさ” ではなく 安心を整えること
  2. 子どもを育てるのは 問い続ける姿勢
  3. 安心があると 挑戦し、行動範囲が広がる
  4. “成果” ではなく 空気を整えることが未来をつくる
18〜27分

▶︎ 今回の記事はシリーズの一部です。全体の考え方をまとめて読みたい方はこちら👇

▶︎ この記事は、30年以上、4歳児から高齢者まで指導してきた現場経験をもとに書いています。


👉 結論:正しさより先に、安心がある。


若い頃の私は、「指導=正しく導くこと」だと強く信じていました。

  • できないところを直す
  • 形を整える
  • 成果を出す

しかし今なら分かります。

子どもが挑戦を始めるのは、安心しているとき。
安心が整うと、自然に工夫が生まれ、自分で育ち始める。


大人の役目は、叱ることでも、急いで導くことでもない。
“安心の場” を整えること。

それが、今の私の指導の軸です。


フォームを直すより、空気を整える

踏み切りのタイミングが合わない子。

若い頃の私は、細かい指示を何度も繰り返し、形を整えることに集中していました。

けれど今は最初にこう声をかけます。

「ちょっと緊張してるかな?」

そして

  • 深呼吸
  • 軽いジャンプ遊び
  • 笑顔が戻るのを待つ

すると、ほとんどの子が自然と踏み切りを合わせ始めます。

技術より前に必要だったのは、”神経の落ち着き” だったのです。


活動に入れない発達特性の子への対応

以前の私は、「今はその時間だよ」と促すことが多かった。

今はまず確認します。
「今日はちょっとしんどい?」

少し隅で休み、落ち着いたら自分のペースで戻る。
最後にその子は、小さくこう言いました。

「できた…」

全部できたわけじゃない。
でも “戻れた” ことが、その子にとっては大きな成果。


▶︎ 関連する内容として、こちらもおすすめです。



失敗が続く子への関わり方

昔の私:「集中して!」「ちゃんと見て!」

今の私:「今、ちょっと焦ったかな?」

子どもが「うん」と言語化した瞬間、動きが落ち着きはじめます。

叱るより、整える。
それだけで空気は変わります。


子どもが見せた “ほんの小さな変化”

ある日、いつも失敗を怖がっていた子がいました。

ボールを落とすたびに、顔が曇る。
周りを気にして、どんどん動きが小さくなる。

その日、私は声を変えました。

「落としても大丈夫だよ」ではなく、
「今、ちょっとドキドキしてるね」とだけ伝えました。

しばらくして、その子は小さくつぶやきました。

「…もう一回やっていい?」

その一言は、とても静かで、でも確かに、”挑戦” でした。

大きな成功ではありません。
でもその瞬間、私は確信しました。

安心は、確実に子どもを前に進ませる、と。


神経系の安定が学びの土台(脳科学)

不安や緊張が強いと、脳は「防御モード」になり、思考・判断を担う前頭前野が働きにくくなります。

つまり…

不安な状態では学びにくい。
安心が整うと学びが進む。


叱られて動くのは外発的動機(心理学)

安心の中で動くと、子どもは “自分からやってみたい” に切り替わります。

“自分で選んだ行動” は長続きする。


インクルーシブ教育の視点(環境調整)

子どもを変えるのではなく、環境を整えることが優先。

指導者が変わると、子どもは自然に動き出します。


👉 結論:問い続ける姿勢を持つこと。


叱る指導

  • すぐ整う
  • でも萎縮が残る

支える指導

  • 時間がかかる
  • でも “根” が育つ

この違いはすぐには見えませんが、挑戦する力に大きな差を生みます。

いま求められる指導は、正す・直す → 整える・待つ・支える。

これこそ成熟した指導です。

よっちゃん
よっちゃん

完璧な答えを持つことより、
問い続ける姿勢のほうが、子どもを育てます。


👉結論:変わったのは “大人のまなざし”。


子どもは、元々成長する力を持っています。
必要なのは、

正しさより安心。
成果より関係。
形より空気。

視点を変えれば、子どもは自然に伸びていく。


👉結論:”見ようとする姿勢” が未来をつくる。


若い指導者と話すと、こうした悩みをよく耳にします。

「何度注意しても伝わらない」
「どう関わればいいのか分からない…」

そんな時私はこう伝えます。


若い指導者との実際の対話

ある指導者が悩んでいました。

「ふざけてしまう子がいて…何度言っても同じで…」

一緒に振り返ると分かったのは、

  • 切り替えの瞬間に不安が出やすい
  • 注意すると一瞬止まるが、また戻る

そこで私は聞きました。

「出来ないのかな?それとも “切り替わる瞬間が不安” なのかな?」

若い指導者はハッとしたように答えました。

「…不安なのかもしれません」


翌週、彼は対応を変えました。

  • 切り替え前に予告を入れる
  • 次の流れを視覚で提示
  • 注意より「そわそわしてるね」と言語化

すると子どもは少しずつ落ち着いていきました。

劇的な変化ではありません。
でも間違いなく “空気” が変わっていました。

若い指導者は言いました。

「注意を減らしたら、関係がよくなった気がします」


「分からない」と言えた瞬間

若い指導者が、ぽつりとこう言いました。
「正直、どうしたらいいか分からなかったんです」

その言葉を聞いたとき、私は少し安心しました。

なぜならそれは、”投げ出した言葉” ではなく、”向き合っている人の言葉” だったからです。

分からないままでもいい。
迷いながらでもいい。

大切なのは、その状態で子どもから目をそらさないこと。

完璧な指導者よりも、”見続けようとする指導者” のほうが、子どもを育てます。


  • 行動は “問題” ではなく “困りごとの表出”
  • 不安が強いと脳が “防御モード” に入る
  • 安心が整うと “学習モード” に切り替わる
  • 指導者の姿勢は “場の文化” を作る

だからこそ、
正すより、気づこうとすること。
叱るより、支えようとすること。

これが、子どもを伸ばす最も根本的な関わりです。


👉結論:子どもが “自分で育とうとする力” です。


私たちの目標は、

  • できる子
  • 失敗しない子
  • 指示通りに動く子

ではありません。

育てているのは、

  • 迷いながらも自分で進む力
  • 挑戦し続ける力
  • 自分を整える力

これらはすべて、安心の中でこそ育つ力です。

そしてその安心は、まず 指導者のまなざし から始まります。


最近は地域のイベントや保護者との関わりも増えました。

  • お祭りで顔を合わせた
  • 教室外でも声をかけてもらう
  • 子どもが家での様子を話す

それらを通して再確認します。

安心は、教室の中だけで完結しない。
関係の中でめぐり、地域に広がっていく。

そしてその “めぐり” を作るのは、丁寧に子どもを見つめようとする大人の姿勢です。


教室の外で見えた “成長の証”

帰り道、偶然その子に会いました。

教室では不安そうな顔をしていた子です。
でもその日は、家族の隣で笑っていました。

私に気づくと、大きく手を振ってくれました。

「先生ー!」
その声は、教室で聞く声よりも、少し自信に満ちていました。

その瞬間、思いました。
ああ、この子の中に、”安心が残っている” んだな、と。

指導の成果は、テストや記録には出ないことも多い。
でもこうして、ふとした日常の中に、確かに現れるのだと思います。


もし今、迷っているなら

もし今、

うまくいかない
伝わらない
どう関わればいいか分からない

そんな風に感じているなら。

それは、あなたが真剣に子どもと向き合っている証です。

大丈夫です。

すぐに答えが出なくてもいい。
完璧じゃなくていい。

ただ一つだけ。

“見ようとすること” をやめなければ、その関わりは、必ず子どもに届いていきます。


安心を未来へつないでいく指導へ

  • 正しさより、安心
  • 成果より、空気
  • 指示より、まなざし

指導とは、子どもが “自分で育とうとする力” を信じること。

安心を整える大人が増えるほど、子どもたちの挑戦は大きく、しなやかに広がっていきます。

あなたの指導は、必ず誰かの未来を変えていきます。

そしてその未来は、今日の “安心” から始まります。


  • 指導とは “正しさ” ではなく 安心を整えること
  • 子どもを育てるのは 問い続ける姿勢
  • 安心があると 挑戦し、行動範囲が広がる
  • “成果” ではなく 空気を整えることが未来をつくる

次回(第2期全6回 まとめ版)は、

これまでの第1〜第6回をひとつの物語としてまとめ直した、“第2期総集編” をお届けします。

▶︎ ここまで読んでくださった方には、ぜひ次の記事も読んでいただきたいです。


▶︎ 今回の記事のコラムも、ぜひ、あわせて読んでみてください。

このブログでは、

現場での気づきや改善の工夫、子どもたちとの温かいやり取りを通して、
“寄り添う指導” のあり方や、”寄り添う関わり方” を考えていきます。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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