【発達特性の理解】”困った行動”は「わざと」じゃない

発達の凸凹な子どもたち

〜 不安から見える子どものサインを知る 〜
【全6回シリーズ・子どもとの関わり方】第3期 第1回


「どうしてうちの子だけ…」
「何回言っても伝わらない…」
「周りの目がつらい…」

私は指導の現場に立つことで、発達特性のある子どもたちと、たくさん出会ってきました。

  • 急に泣き出す
  • 大きな声を出す
  • 順番が変わると動けなくなる
  • 同じことを何度も繰り返す
  • 「あとで」が待てない

周囲の大人の方から見ると、

  • わがまま
  • 困った子
  • 親のしつけの問題

と思われてしまうことがあります。


そして保護者の方自身も、

  • 「どうして伝わらないんだろう…?」
  • 「私の関わり方が悪いのかな…?」

と、自分を責めてしまうことがあります。

でも、長く現場で子どもたちと関わる中で、私はあることを 確信 するようになりました。

それは、


👉 結論:困った行動 の多くは、「困らせたいから」ではなく、
      不安を下げたい行動 ということです。


今回は、発達特性のある子どもたちの行動を、

👉 問題行動 としてではなく 安心を求めるサイン、

として見る視点について、書いてみたいと思います。

 ✔︎ 結論:この記事を読んで分かること ↓ 
  1. 本当は、子ども自身も困っているんです
  2. その問題行動には、理由があるんです
  3. 保護者自身も、理解されないことが一番つらいんです
  4. “直す” 前に “理解する” ことから始めます
26〜38分

▶︎ この記事は、30年以上、4歳児から高齢者まで指導してきた現場経験をもとに書いています。


👉 結論:「困らせたい」のではなく、不安を処理できない状態 なんです。


急に泣く・怒る・動けなくなる理由

子どもたちの行動には、
いつも ことばにならない声 が隠れています。

泣く・怒る・動かない・笑う・走り出す——。

そのどれもが、「困らせよう」としているのではなく、
伝えようとしていることば の代わりなんです。

よっちゃん
よっちゃん

まずはその「ことばにならない声」を、聞き逃さないでください。

子ども自身も「どうしたらいいか分からない」ことがある

ある日のこと。

スーパーで買い物をしようと店内を歩いていたとき、
私の前を歩いていた親子が急に立ち止まりました。

手をつないでいた男の子が、突然座り込んでしまったのです。
保護者の方は、その子に向かって

  • ちゃんと歩いて!
  • 恥ずかしいから、やめて!
  • わがまま言わない!

と、強く促していますが動きません。

そのとき、ふと気づいたのです。
その男の子は 動かない のではなく、どうしたらいいか分からない なんだ、と。


周囲の視線が集まる中、
保護者の方は、その後も何とか立たせようとしていました。

でも、焦れば焦るほど、男の子は動けなくなっています。

その姿を見ながら、私は

男の子だけじゃない。
保護者の方も、今すごく苦しいんだ と感じました。


“困らせたい” のではなく “困っている”

スーパーは刺激が非常に多い場所です。

  • 明るい照明
  • 人混み、人の話し声
  • BGM、店内アナウンス、カートの音
  • におい(惣菜、魚、香水など)
  • 商品の色や情報量(チラシ、貼り紙など)

感覚過敏 のある子にとっては、
これらが一気に押し寄せてきて、脳が処理しきれない状態 になっていたんです。


座り込んだのは、

  • これ以上動けない
  • 情報を遮断したい
  • 身体を止めて耐えている

という 防御反応 に近い場合があります。

子ども自身も 困らせたいから と行動したのではなく、
「どうしたらいいか分からない」
状態になっている、ことがあるんです。


👉 結論:だれでも、先の見通しが立たない と不安になる。


「先が分からない」が大きなストレス

たとえば大人の私たちでも、

  • 初めての場所
  • 先が見えない状況

だと、不安になりますよね?

発達特性のある子どもは、

  • どこへ行くのか?
  • 何をするのか?
  • いつ終わるのか?

これらが、あいまいだと、
その 不安の感じ方 が、とても強くなる ことがあるんです。


急な変更や予想外が苦しくなる理由

子どもは、

  • 納得できない
  • 急に終われない

このような状況になると、
身体が止まり、座り込む形で表現することがあります。

  • お家から → スーパー
  • おもちゃ売り場から → 食品売り場
  • 欲しいのに → 買ってもらえない

などの切り替えに、強い負荷を感じることがあるんです。
あなたも子どもの頃に、一度は経験していませんか?


強い口調や焦らせる声かけが与える影響

先ほどの保護者のように、

  • 「ちゃんと歩いて」
  • 「恥ずかしい」
  • 「わがまま言わない」
  • 「なんで急に?」

と強く促すと、さらに子どもの負荷が上がって、

  • パニック
  • 泣く
  • 寝転ぶ
  • 暴れる

などの行動へ発展することがあります。

ここで重要になってくる視点は、
子どもの表現方法だけを見ると 問題行動 に見えますが、でも、

👉 その奥には、助けて が隠れていることがあるんです。


👉 結論:繰り返しは、安心を確認する作業 になっていることがある。


同じ動き・同じ順番・同じ言葉は予測可能です。

予測できることは、不安を下げます。

👉 つまり、いつも通り 安心 につながっているんですね。


同じセリフを繰り返すAくん

👉 こだわりは “安心を保つ方法” ということがある。

たとえばAくんは、一度にいくつもの指示を与えられたとき、
理解や記憶の整理のために同じ質問をしてしまうことがあります。

周りからは、

  • こだわり
  • 変なクセ
  • 無意味な反復

に見えても、

本人の中では重要な役割を果たしていることがあるんです。


毎回必ず、同じ場所に触れてから体育館に入るBさん

👉 現場で出会った “順番が変わると不安になる子”。

最初は、「何かのこだわりがあるんだ」
と思っていました。

でも、その流れを崩されると、
急に不安定になることがありました。

Bさんにとっての いつも通り が、
安心するための大切な準備だったんです。


👉 結論:できない自分 ではなく、
      分かってもらえない自分 に苦しくなっていくことがある。


「こんにちは」が言えないCさん

👉 「なんでできないの?」と言われ続ける苦しさ。

Cさんが家では話せることを、保護者の方は知っています。

でも外では、

  • 緊張で声が出ない
  • 話し出すタイミングが分からない
  • 相手の目を見るだけで精一杯

ということがあるんです。

すると周囲は、

  • 「挨拶くらいできるでしょ」
  • 「親が教えてない」
  • 「無視された」

と受け取ることがあります。

子どもは

  • 「言いたいのに、口から出ない…」

保護者も

  • 「何年間も、毎日練習してきたのに…」

それでも しつけ不足 とみられてしまうんです。


朝の支度で靴下だけ履けないDさん

👉 子どもは “分かってもらえない不安” を抱えている。

小学1年生のDさんは、服は上手に着替えられるのに
靴下を履くところで毎朝止まってしまいます。

理由を聞くと、

  • 「タグが足に刺さる」
  • 「縫い目が気持ち悪い」
  • 「左右が少し違う感じがする」

と言うそうです。

大人から見ると普通の靴下でも、
当人には、とても強い違和感があるみたい。

結果として、

  • 登校前に泣く
  • 靴下を何度も脱ぎ直す
  • 「学校に行きたくない」につながる

ことがあるようです。

毎朝のことなので、保護者の方も、

「早くして!」
と言いたくなってしまうそうです。

でも、当人のDさんも、
どうにか履こう と頑張っている場合があるんです。

Dさんにとっては、履きたくない のではなく、
痛くて耐えられない感覚 に近かったんですね。


▶︎ もし今、同じように悩んでいるなら、こちらの記事もきっと参考になります。


スーパーで突然座り込むEくん

Eくんは、学校ですでに頑張りすぎてしまって、
保護者と一緒にスーパーに来た時点で、余力が残っていなかったんです。

発達特性のある子は、
外見上は普通に見えても、日常でかなりの 認知的エネルギー を使っています。

さらに重要なのは、
言葉で説明できない負荷がある 場合が多いことなんです。

本人も なぜ無理なのか を説明できず、
結果として 座り込む という形でしか表現できないときがあるんです。


美容院に入る直前になると泣き出す5歳のFくん

美容院そのものではなく、
髪を切られているときに、つらい表情をするFくん。

では、なぜ髪を切られるときがつらいのかは、
子どもによってそれぞれ苦手ポイントが違うようです。

たとえば、

  • ハサミの「シャキシャキ音」が怖い
  • 髪が首に落ちる感覚が耐えられない
  • バリカンの振動が痛い
  • クロス(ケープ)の締めつけが苦しい
  • 耳の近くを触られるのが怖い

などがあります。

当人はその事をうまく説明できずに、

  • 「ヤダ!」
  • 「怖い!」
  • 「痛い!」

の、一言になってしまうことが多いようです。

周囲からは、
「髪を切るだけなのに」と言われることがあります。

でも当人にとっては、怖さ不快感 が重なり、
身体が 拒否反応を起こしている 場合があるんです。

Fくんに質問すると、髪を切られる事よりも、
“耳の近くで聞こえるハサミの「シャキシャキ音」が怖かった” と答えてくれました。


運動会の練習が始まる頃になると、朝から不安定になるGさん

運動会の当日です。

みんなが音楽に合わせて動き始める中、
Gさんは、ただ立ち尽くしていました。

保護者席から見ていたお母さんは、

  • 「頑張れ…」
  • 「少しでも動けたら…」

と、祈るような気持ちで見守っていたそうです。

でも周囲からは、

  • 「やる気がないのかな…?」
  • 「練習してないんじゃない…?」
  • 「もしかしてふざけてる…?」

という空気を、保護者席で感じることがあったと話してくれました。

Gさんにとって運動会(練習も含めて)は、

  • 大きな音
  • 人の多さ
  • 周囲の動き
  • 次に何をするのか分からない不安
  • 失敗してはいけない緊張

などで、頭の中がいっぱいになっていたんです。

身体はそこにいても、心は耐えることに必死 だった。
でも、その苦しさが周囲には見えにくいことがあるんです。


運動会のあとお母さんは、
「どうしてできなかったの?」

ではなく、

「今日は疲れたね」と声をかけたそうです。

本当は、お母さん自身も、
周囲の視線に胸が苦しくなっていたと思います。

  • 「みんなはできているのに」
  • 「うちの子だけ…」

そんな思いが頭をよぎることもあったと思います。

それでも、子どもが一番苦しかったことを、
お母さんは分かっていたんですね。

周囲には、立っているだけ に見えても、
当人にとっては、崩れないよう必死に耐えている ことがあるんです。


偏食が強いHさん

👉 保護者もまた、孤独の中で頑張っている。

たとえば、親戚が集まる食事の席で、
Hさんが一口も食べられず、お母さんが何度も頭を下げていました。

「すみません…」と言いながら、
本当は、一番つらいのはお母さん自身だったかもしれません。

家では、

  • 食べられる物を探して
  • 少しでも栄養が取れるように工夫して
  • 毎日悩みながら向き合っている

それでも、

  • 甘やかし
  • 好き嫌い

と言われてしまう。

👉 理解されない苦しさ は、子どもだけでなく
 保護者の心も少しずつ削っていく ことがあるんです。

「できない」の裏に、本人なりの限界や理由がある と理解されるだけでも、
子どもも保護者もかなり救われます。


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👉 結論:子どもは安心すると挑戦できる。


安心すると、子どもは少しずつ動き始める

発達特性のある子どもたちの行動の多くは、
安心を求める行動 でもあります。

  • 急に泣き出す
  • 大きな声を出す
  • 順番が変わると動けなくなる
  • 同じことを何度も繰り返す

👉 子どもは、理解された と感じられたときに、少しずつ動き始めます。


▶︎ 関連する内容として、こちらがおすすめです。


“甘やかし” と “安心” は違う

困った行動 の奥にあるものを知ることは、
子どもを 甘やかすこと ではありません。

安心を与えることは、なんでも許す ではなく、
安心した状態なら力を出せる という 前提を整えること です。


理解することが、支援の第一歩になる

発達特性のある子どもと保護者が傷つきやすいのは、
「困っていること」そのものではなく、

  • 努力不足と思われる
  • 怠けていると思われる
  • 愛情不足と思われる
  • 普通ならできる 前提でみられる

ことなんです。


私は30年以上、運動指導の現場で、たくさんの子どもたちと出会ってきました。

その中で 確信している事 があります。

👉 子どもは、「理解された」と感じられたときに、
 少しずつ安心し、少しずつ動き始める、ということです。

もちろん、毎日うまくいくわけではありません。

保護者の方も、疲れる日が当然あります。

余裕を失う日もあります。

でも、困った行動の奥にあるものを知ろうとすること は、

👉 子どもを甘やかすことではなく、
 その子が安心して生きていくための、大切な土台になります。


もし、あなたが今

  • どうして伝わらないんだろう
  • 私の関わり方が悪いのかな

と悩んでいるなら、

👉 まず知ってほしいのは
 子どもも、そして保護者も、毎日を一生懸命に頑張っている

  ということです。

👉 うまくいかない日があったとしても、
 理解しようとする関わりは、決して無駄にはなりません。


  • ✔︎ 本当は、子ども自身も困っている
  • ✔︎ 問題行動には、必ず理由がある
  • ✔︎ 保護者自身も、理解されないことが一番つらい
  • ✔︎ “直す” 前に “理解する” ことから始める

スクリーンショットをして、保存したくなるチェックリストですね。


今日だけではなく、また苦しくなった日に読みに来てください。
子育ては、一度読んだから終わりではありません

苦しい日は何度でもやってきます。

そんな日にこの記事が、あなたの心を少しでも休ませる場所になれたら、
これ以上うれしいことはありません。


この続きは、次の記事でさらに深くお伝えします。

次回(第2回)は、“あいまいな指示が苦しい子どもたち”

「ちゃんとして」「あとでね」「みんなと同じにして」そんな “あいまいな言葉” が、なぜ苦しくなってしまうのか。発達特性のある子どもたちの “分かりにくさ” について、現場経験を交えながら書いてみたいと思います。

▶︎ ここまで読んでくださった方には、ぜひ次の記事も読んでいただきたいです。


▶︎ 今回の記事のコラムも、ぜひ、あわせて読んでみてください。


どうして?」が、「そうだったんだ」に変わるとき、
子どもとの関わり方も、少しずつ変わり始めます。

このシリーズが、その小さなきっかけになれたらうれしく思います。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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