なぜ発達特性のある子は運動が苦手なのか?指導者が知るべき5つの背景

見え方が変わる

〜 運動指導の見え方がかなり変わる(2)〜
『 指導者が知っておきたい身体と心の背景 』


運動の現場に立っていると、そう感じる子に出会うことがあります。

ボールがうまく捕れない。
よく人や物にぶつかる。
説明を聞いても動きが止まってしまう。
みんなと同じ動きが難しい。

こうした姿を見ると、”やる気が無い” “運動神経の問題” と思われてしまうこともあります。
しかし実際には、“発達特性による背景” が関係していることがあります。

発達特性のある子どもが運動を苦手とする背景には、主に “5つの要因” があると言われています。
それは、

  • 身体のイメージ(ボディイメージ)
  • 協調運動
  • ワーキングメモリ
  • 感覚処理
  • 失敗経験

といった、“身体、脳、心理の複合的な要素” です。
これらを理解すると、子どもの行動の見え方は大きく変わります。
“出来ない子” ではなく、 “違う難しさを抱えている子” として見えてくるからです。

実は、発達特性のある子どもには “運動が得意な子” “とても苦手な子” の両方がいます。
この差は、努力や性格ではなく、“脳の働き方の違い” から生まれることが多いです。

今回は、発達特性のある子どもが “なぜ運動を苦手とするのか?”
その背景にある “5つの理由” を見ていきたいと思います。

9〜14分

身体のイメージがつかみにくい?

人は無意識に、

  • 自分の腕の長さ
  • 足の位置
  • 身体の動き

を感じながら動いています。
これを、“身体図式(ボディイメージ)” と呼びます。

よっちゃん
よっちゃん

発達特性のある子の中には、この感覚が弱い子がいます。

その結果、

  • ボールをうまく捕れない
  • 距離感が分からない
  • よくぶつかる

といったことが起きます。


協調運動の難しさ?

体の複数の動きを同時に調整することを、“協調運動” と言います。
例えば、

  • 走りながらボールを見る
  • 手と足を別の動きで動かす
  • リズムに合わせる

こうした動きが難しい子もいます。
これは、“発達性協調運動症(DCD)” と呼ばれることもあります。


ワーキングメモリの負担?

運動の指示には実は、かなり多くの情報があります。
例えば、「ボールを持って、コーンを回って、次の人にパス」。

この3つの指示を、“頭の中で保持しながら動く” 必要があります。
発達特性のある子は、“ワーキングメモリ(情報を一時的に覚える力)” が弱いことがあり、

  • 説明を忘れる
  • 動きが止まる
  • 違う動きをする

ことがあります。

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『 ワーキングメモリとは? 』
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感覚処理の違い?

運動には、

  • 視覚
  • 前庭感覚(バランス)
  • 固有感覚(身体の位置)

など多くの感覚が関係します。
発達特性のある子は、これらの情報処理が、

  • 強すぎたり
  • 弱すぎたり

することがあります。
例えば、

  • ブランコが怖い
  • 回ると気持ち悪い
  • 逆に回り続ける

といった反応です。


失敗経験の積み重ね?

よっちゃん
よっちゃん

これは心理面です。

運動が苦手だと、

  • 笑われる
  • 比べられる
  • 怒られる

経験が増えます。
すると、“運動そのものを避ける” ようになります。

そうすると、さらに経験が減り、差が広がります。


運動指導の現場に立つあなたは、実は、この悪循環を断ち切れる存在なのです。

大切なのは、“出来る前提” で環境を作ること、です。
例えば、

  • ボールを大きくする
  • 距離を短くする
  • 回数を減らす
  • 成功率を上げる

すると子どもは、「出来た!」という経験を持てます。


多くの運動指導者が、ある共通の瞬間を経験しています。
それは、“この子、急に伸びた” という瞬間です。

発達特性のある子は、ある条件がそろうと “急激に伸びることがあるんです”


運動が苦手に見える子どもたちの姿の裏には、さまざまな理由があります。

身体のイメージのつかみにくさ、協調運動の難しさ、ワーキングメモリの負担、感覚の感じ方の違い。そして、これまで積み重なってきた失敗経験。

こうした背景が重なると、子どもはいつの間にか “運動が苦手な子” として見られるようになります。

けれど、それは能力の限界ではありません。多くの場合、”経験の積み方や環境の違い” です。

ボールを少し大きくする。
距離を少し短くする。
回数を少し減らす。

ほんの少し環境が変わるだけで、子どもの表情が変わる瞬間があります。
そして運動の現場では、ときどき指導者が驚くような出来事が起こります。

それは、“この子、急に伸びた” という瞬間です。今まで出来なかった動きが、ある日ふと、出来るようになる。発達特性のある子どもには、ある条件がそろうと、成長が一気に表れることがあります。

その瞬間に立ち会うと、多くの指導者が気づきます。
子どもが変わったのではなく、“伸びる準備が、ずっと進んでいたのだ” ということに。

よっちゃん
よっちゃん

そしてもう一つ、同時に起きている変化があります。
それは、子どもを見る “大人のまなざし” です。

もしかすると「この子、急に伸びた」という瞬間は、子どもの成長と同時に、“大人の見方が変わる瞬間” なのかもしれません。


次回は、“発達特性のある子が、急に伸びる瞬間” をお話しします。これは、長く現場にいる指導者ほど「あるある」と感じる話です。若いあなたにも、ぜひ読んでいただきたいです。

そこには、とても興味深い理由があります。


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