『 安心できる場所があれば、また挑戦できる 』
〜 見え方がかなり変わる (6)〜
「うちの子、運動が嫌いなんです…」
そう話す保護者の方がいます。
- 体育の時間になると嫌がる
- ボール遊びに誘っても「やりたくない」と言う
- 「どうせできないから」と、最初からやろうとしない
そんな姿を見ると、
- 「もっと練習すれば、できるようになるのに…」
- 「どうして、やってみようとしないんだろう?」
と、大人は考えてしまいます。

でも、本当にその子は『運動そのもの』が嫌いなのでしょうか?
👉 結論:その子が嫌なのは、『できないこと』ではなく、
『できない自分を何度も経験すること』なんです。
- ボールが捕れない
- 走っても思うように動けない
- 何度やっても失敗する
- 周りの子はできているのに、自分だけできない
そんな経験が積み重なると、
- 「また失敗するかもしれない…」
- 「どうせできない…」
- 「見られたくない…」
- 「やりたくない…」
という気持ちにつながります。

そしていつの間にか、『運動=嫌なもの』になってしまいます。
発達特性のある子どもの場合、身体の使い方や協調運動、感覚の受け取り方など、
本人の努力だけでは解決しにくい難しさが重なることもあります。
▶︎ もし今、同じように悩んでいるなら、こちらの記事もきっと参考になります。
『 なぜ発達特性のある子は運動が苦手なのか?指導者が知るべき5つの背景 』
→ https://www.yocchanblog.com/miekatani/

だからこそ、「もっと頑張ればできる」と考えるのではなく、
「この子は、どんな失敗経験を重ねてきたのだろう?」と、その背景を見ること。
この記事では、子どもの『運動嫌い』がどのように生まれるのかを、失敗経験という視点から
考えます。

そして、「どうしたら、もう一度やってみようと思えるのか?」という、
運動指導の大切な視点についても、現場での経験を交えながらお伝えします。
▶︎ 人は、何歳になっても学び直せます。
私は30年以上現場で指導していますが、子どもに対する見方を間違えていた時期がありました。
なぜ子どもは『運動が嫌い』になるのか?
子どもは、最初から『運動が嫌い』だとは限りません。
- ボールを投げてみる
- 走ってみる
- 跳んでみる
- 友達と一緒に身体を動かしてみる
最初は、きっと「やってみたい」という気持ちがあったはずです。ところが、
- ボールが捕れない
- 何度やっても失敗する
- 周りの子はできているのに、自分だけできない
- 大人 (指導者・保護者) から「もう一回やってみよう」と言われる
- 頑張っているのに、うまくいかない

そんな経験が何度も重なると、子どもの中に少しずつ変化が起こります。
- 「また失敗するかもしれない…」
- 「どうせできない…」
- 「見られたくない…」
- 「やりたくない…」
そして、いつの間にか「運動=嫌なもの」になってしまうんです。
「やらない」のではなく、「失敗したくない」から
運動指導をしていると、「この子はやる気がないのかな?」と思ってしまう場面があります。
みんながボールを取りに行っているのに、その場から動かない。
「やってみよう」と声をかけても、「嫌だ」と言う。
何度誘っても参加しない。
そんなとき、大人たちは「やる気」という言葉で片付けてしまいがちです。

でも、見方 (視点) を変えてみてください。
👉「やりたくない」のではなく、「失敗するのが怖い」のではないか?
「できない」のではなく、「できないところを見られるのが嫌なのではないか?」

そう考えると、その子の言動が違って見えてきます。
失敗の積み重ねが、「どうせできない」につながるから
👉 一度の失敗で、運動嫌いになるわけではありません。
大切なのは、失敗がどのように積み重なっていくか? です。
例えば、ボールを蹴る練習。
子どもは「やってみよう!」と、ボールに足を近づけます。
でも、何度足を近づけたり、伸ばしたりしてもボールを蹴れません。
「もう一回!」「もう一回!」それでも当たらない。
周りの子は次々と成功していく。自分だけできない。
すると、次の練習では足を伸ばす前から「どうせ蹴れない」と思うようになるかもしれません。
そして、
- ボールが飛んでくると避ける
- 参加しなくなる
- 「やりたくない」と言う
👉 大人から見ると、「練習しないから、できるようにならない」ように見えます。

でも、子どもの側からすると「失敗したくないからやらない」ということなんです。
ここに、大きな違いがあります。
“失敗させない” ことより「失敗しても大丈夫」が大切
👉 ここで、大人 (指導者・保護者) として気をつけたいことがあります。
失敗経験がつらいからといって “失敗させないようにすること” がすべてではありません。
運動には、失敗がつきものです。何度も失敗しながら、
- 「こうするとできる」
- 「今度は少し近づけた」
- 「前よりも長い時間できた」
という発見があります。だから大切なのは、

“失敗をなくすこと” ではなく、「失敗しても大丈夫!」と子どもが感じられること。
私は、ここがとても大切だと考えています。
運動が苦手な子に「できた!」が生まれる条件をつくる
先ほどの、ボールを蹴ることが苦手な子。
いきなり空中のボールを蹴る必要はありません。
- 少しだけ大きなボールにする
- 距離を近くする
- 大人がゆっくり転がす
- 転がってきたボールに、足を当てるところから始める
- 一回成功したら、もう一度やってみる

こうした小さな工夫によって、「できた!」という経験が生まれてきます。
そして、その「できた」が、「もう一回やってみたい!」につながるんですね。
「できた」の前には、小さな「できそう」がある

私は、子どもの運動指導では、「できた」だけを見ないことが大切だと考えています。
- 前よりボールを目で追えるようになった
- 手を出せるようになった
- 少しだけ近づいてみた
- 今日は逃げなかった
- 大人と一緒ならやってみた

こうした変化も、とても大切な一歩です。
👉 まだ成功していなくても、「できそう!」という感覚が生まれてきています。

そして…、
その「できそう」が積み重なった先に、「できた!」が待っているんです。
「失敗しても大丈夫」と思える場所とは?重要なポイント
では、子どもにとって安心できる運動の場とは、どんな場所でしょうか?
私は、失敗しても、自分の居場所がなくならない場所 だと考えています。
- ボールを蹴れなくてもいい
- 転んでもいい
- 順番を間違えてもいい
- うまくできなくてもいい
- 「もう一回やってみよう」と思える
そして、「今日はここまで」と自分で止めることもできる。

そんな場所なら、『子どもは挑戦しやすい』と確信しています。
▶︎ 関連する内容として、こちらもおすすめです。
大人は「もっと頑張ろう」より「やってみた」をみる
- 「なんでできないの?」
- 「もっと練習しよう」
- 「みんなできているよ」
大人からすると、子どもを励ますつもりの言葉かもしれません。
でも、すでに失敗を重ねてきている子どもにとっては、
さらに「できない自分」を意識する言葉になってしまうことがあります。
そんなときは、
- 「今、足を伸ばせたね」
- 「やってみたね」
- 「さっきよりボールに近づけたね」
- 「もう一回やってみようと思ったんだね」

と、結果ではなく過程を見てあげます。
それだけで、子どもの感じ取り方は変わります。
▶︎ 明日からすぐに使える実践例は、こちらです。
『運動嫌い』を変える前に、経験を変えてみる
「運動嫌いの子を、運動好きにする」
そう考えると、大人(指導者・保護者)は「どうやって好きにさせよう?」と考えます。

でも、私は少し違う視点が大切だと考えています。
まず、「運動を嫌いになってしまうような経験が、どこにあったのだろう?」
と考えてみること。
- できないことが続いたのかもしれません
- 周りと比べられたのかもしれません
- 失敗したときに笑われた経験があるのかもしれません
- 自分では頑張っているのに、「もっと頑張ろう」と言われ続けたのかもしれません
あるいは、身体の使い方や感覚の受け取り方など、
本人だけではどうにもできない難しさがあったのかもしれません。
だからこそ、「もっと練習すればできる」ではなく、
「どうしたら、この子がもう一度やってみようと思えるだろう?」

と、考えることが大切なんです。
▶︎ 少し視点は変わりますが、こちらの記事もヒントになります。
「この子、急に伸びた」の前には何があったのか?
「できた!」の前に積み重なっていたもの
「この子、急にできるようになった!」
- ボールを投げれた
- ボールを捕れた
- ボールを蹴れた
- 縄跳びを跳べた
- 走り方が変わった
- 昨日までできなかったことが、今日はできた
本人もうれしそうに笑っている。
でも、本当に「急に!」だったのでしょうか?
その前には、
- 失敗していた時間があった
- 周りの子の動きを、よく見ていた時間があった
- 上手な子と同じように、身体を動かしていた時間があった
- 「できそう」と感じた瞬間があった
- 先生との安心できる関係があった
そして、「もう一回やってみよう」と思える経験があった。
そうした目に見えない積み重ねが、ある日、一つの「できた」として表れます。
だから私は、

「急にできた」のではなく、
「できる準備が少しずつ整っていた」と考えるようにしています。
▶︎ 実際の現場で何度も感じてきたことを、こちらの記事にまとめています。
「できた・できない」という結果だけではない
子どもの運動を見ていると、
「できた」「できない」という結果に目が向きます。
もちろん、それも大切です。
でも、その間にはたくさんの小さな変化があります。
- 今日は参加できた
- 昨日より少し長く続けられた
- 失敗しても、その場に残れた
- もう一度やってみた
- 友達の動きを見ていた
- 先生に「やってみる」と言えた

こうした姿を見つけられる大人(指導者・保護者)でありたい。
私は、そう思っています。
なぜなら、「できない」という結果だけを見ていると、
その子が積み重ねているものを見落としてしまうからです。
おわりに
「運動が嫌い…」
そう言う子どもに接したとき、私たちはつい、
- 「もっと身体を動かしたほうがいいよ!」
- 「練習すれば、できるようになるから」
- 「どうしてやってみないんだろう…?」
と考えてしまいます。
でも、ここまで見てきたように、

その「やりたくない」の前には、
何度も積み重なった、つらい経験があったんです。
- ボールを蹴れなかった
- 走っても思うように動けなかった
- みんなはできているのに、自分だけできなかった
- 頑張っているのに、うまくいかなかった
そんな経験が重なると、「また失敗するかもしれない」という気持ちが、
いつの間にか「やりたくない」という言葉になって表れてきます。
だから私は、「運動嫌い」を変えようとする前に、
「この子は、これまでどんな経験をしてきたんだろう?」

と、考えることが大切なんだと確信しています。
そして、もう一つ。
“子どもにとって大切なのは、失敗しないことではありません。
失敗しても、大丈夫だと感じられること”。
- できなくても、笑われない
- 間違えても、責められない
- 途中でやめても、また戻ってこられる
- 「もう一回やってみようかな」と思ったときに、安心して挑戦できる
そんな場所があれば、子どもは少しずつ変わっていきます。
私は、長く運動指導をしてきた中で、
「この子、急にできるようになったな」と感じる瞬間を何度も見てきました。
でも、その「急に!」の前には、
- 見ていた時間があった
- 失敗していた時間があった
- 少しだけできた経験があった
- 先生や仲間と安心して過ごした時間があった
そして、「もう一回やってみよう」
と思える瞬間が、少しずつ積み重なっていたのだと思います。
だから、私たち大人が見るべきなのは、「できた、できなかった」ではなく、
- 今日は参加できた
- 少しだけ手を伸ばした
- 失敗しても、その場にいられた
- もう一度やってみた

そんな小さな変化に目を向けていくこと、なんです。
子どもの「できない」を、ただの結果として見るのではなく、
「今、できるようになる途中なのかも」と見る。
それだけで、私たちの声のかけ方や、つくる環境は変わっていきます。
“運動を好きにさせることを急ぐのではなく、
まずは、運動を嫌いにならなくてすむ経験をつくること”。

その積み重ねの先に、
「やってみようかな…」という小さな気持ちが生まれてきます。
そして、その小さな「やってみよう」が、いつか大きな「できた」につながる。
私は、そんな子どもの力を信じています。
「運動が嫌い…」なのではなく、「失敗することが嫌だった」だけなんです。

だからこそ私たちは、子どもを変えようとする前に、
「もう一度やってみよう」と思える安心を、一緒につくっていきたい。
その安心の中で、子どもはまた、自分の一歩を探し始めるのだと考えています。
この続きは、次の記事でさらに深くお伝えします。
次回は、
“発達特性のある子の “できる日、できない日” の理由?。大人が知るべき4つの視点” をお話しします。
発達特性のある子どもに見られる “できる日” と “できない日” の理由とは…?
脳の働きや感覚の負荷、環境、安心感の影響をもとに、指導者が知っておきたい関わり方を
解説します。
ここを知ることで、あなたの指導の見え方もかなり深くなります。
😊 最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
▶︎ ここまで読んでくださった方には、ぜひ次の記事も読んでいただきたいです。
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▶︎ 広告:様々な理由から自宅で学習する子どもに対して、安心できる居場所の提供はもちろん、将来の進路選択の際に不登校が不利益になることのないよう、社会的自立や参加を実現するための環境作りに取り組んでいます。








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