【発達特性の理解】”困った行動”は「わざと」じゃない

発達の凸凹な子どもたち

〜 不安から見える子どものサインを知る 〜
【全6回シリーズ・子どもとの関わり方】第3期 第1回


「どうしてうちの子だけ…」
「何回言っても伝わらない…」
「周りの目がつらい…」

こんにちは、よっちゃんです。

私は運動指導の現場に立って30年以上になります。
4歳児から高齢の方々まで、幅広い世代と関わってきました。

その中で、
発達特性のある子どもたちとも、たくさん出会ってきました。

  • 急に泣き出す
  • 大きな声を出す
  • 順番が変わると動けなくなる
  • 同じことを何度も繰り返す
  • 「あとで」が待てない

周囲から見ると、
「わがまま」「困った子」「親のしつけの問題」
と思われてしまうことがあります。

そして保護者自身も、
「どうして伝わらないんだろう」
「私の関わり方が悪いのかな」

と、自分を責めてしまうことがあります。

でも、長く現場で子どもたちと関わる中で、
私はあることを感じるようになりました。

それは、


👉 結論:”困った行動” の多くは、「困らせたい」のではなく、”不安を下げたい行動” ということです。


今回は、発達特性のある子どもたちの行動を、

👉 “問題行動” としてではなく、”安心を求めるサイン”。

として見る視点について、
現場経験を交えながら書いてみたいと思います。

 ✔︎ この記事で分かること 
  1. 子ども自身も困っている
  2. 行動には理由がある
  3. 理解されないことが一番つらい
  4. “直す” 前に “理解する”
24〜35分

👉 結論:「困らせたい」のではなく、”不安を処理できない状態” かもしれない。


急に泣く・怒る・動けなくなる理由

子どもたちの行動には、
いつも “ことばにならない声” が隠れています。

泣く、怒る、動かない、笑う、走り出す——。
そのどれもが、「困らせよう」としているのではなく、
“伝えようとしている” ことばの代わり。

よっちゃん
よっちゃん

私は、指導現場の中で何度もその “声” に気づかせてもらいました。

子ども自身も「どうしたらいいか分からない」ことがある

ある日のこと。

スーパーで買い物をしようと店内を歩いていたとき、
私の前を歩いていた親子が急に立ち止まりました。

手をつないでいた男の子が、突然座り込んでしまったのです。
保護者の方は、その子に

「ちゃんと歩いて」「恥ずかしい」「わがまま言わない」

と、強く促していますが動きません。

その時、ふと気づいたのです。
これは “動かない” のではなく、”どうしたらいいか分からない” なんだ、と。


周囲の視線が集まる中、保護者の方は、
その後も、何とか立たせようとしていました。

でも、焦れば焦るほど、子どもは動けなくなる。
その姿を見ながら、私は、

“この子だけじゃない。保護者の方も、今すごく苦しいんだ”
と感じました。


“困らせたい” のではなく “困っている”

スーパーは刺激が非常に多い場所です。

  • 明るい照明
  • 人混み、人の話し声
  • BGM、店内アナウンス、カートの音
  • におい(惣菜、魚、香水など)
  • 商品の色や情報量(チラシ、貼り紙)

感覚過敏のある子にとっては、これらが一気に押し寄せ、
“脳が処理しきれない状態” になったのです。


座り込むのは、

  • これ以上動けない
  • 情報を遮断したい
  • 身体を止めて耐えている

という “防御反応” に近い場合があります。

よっちゃん
よっちゃん

子ども自身も「困らせたい」のではなく、
“どうしたらいいか分からない” 状態になっていることがあるんです


👉 結論:見通しが立たないと不安になる。


「先が分からない」が大きなストレス

たとえば私たち大人でも、

  • 初めての場所
  • 先が見えない状況

では、不安になります。

発達特性のある子どもは、

  • どこへ行くのか
  • 何をするのか
  • いつ終わるのか

が、あいまいだと、
その “不安の感じ方” が、とても強くなることがあります。


急な変更や予想外が苦しくなる理由

子どもは、

  • 納得できない
  • 急に終われない

状態になると、
身体が止まり、座り込む形で表現することがあります。

  • 家 → スーパー
  • おもちゃ売り場 → 食品売り場
  • 欲しい → 買わない

などの切り替えに、強い負荷を感じることがあるんです。


強い口調や焦らせる声かけが与える影響

先ほどの保護者のように、

  • 「ちゃんと歩いて」
  • 「恥ずかしい」
  • 「わがまま言わない」
  • 「なんで急に?」

と強く促すと、さらに負荷が上がって、

  • パニック
  • 泣く
  • 寝転ぶ
  • 暴れる

などに、発展することもあります。

ここで重要になってくる視点は、
行動だけを見ると “問題” に見えますが、でも

👉 その奥には、”助けて” が隠れていることがあります。


👉 結論:繰り返しは、”安心を確認する作業” になっていることがある。


同じ動き、同じ順番、同じ言葉は予測可能です。

予測できることは、不安を下げます。

👉 “いつも通り” が安心につながる。


同じセリフを繰り返すAくん

👉 こだわりは “安心を保つ方法” のことがある。

たとえばAくんは、一度にいくつもの指示を与えられたとき、
理解や記憶の整理のために同じ質問をしてしまうことがあります。

周りからは、

「こだわり」「変なクセ」「無意味な反復」
に見えても、

本人の中では重要な役割を果たしていることがあります。


毎回必ず、同じ場所に触れてから体育館に入るBさん

👉 現場で出会った “順番が変わると不安になる子”。

最初は、「何かのこだわりがあるんだ」
と思っていました。

でも、その流れを崩されると、
急に不安定になることがありました。

よっちゃん
よっちゃん

Bさんにとっては “いつも通り” が、
安心するための大切な準備だったのだと思います。


👉 結論:”できない自分” ではなく、”分かってもらえない自分” に苦しくなっていくことがあります。


「こんにちは」が言えないCさん

👉 「なんでできないの?」と言われ続ける苦しさ。

保護者としては、家では話せることを知っています。

でも外では、

  • 緊張で声が出ない
  • タイミングが分からない
  • 相手の目を見るだけで精一杯

ということがあります。

すると周囲は、

  • 「挨拶くらいできるでしょ」
  • 「親が教えてない」
  • 「無視された」

と受け取ることがあります。

子どもは「言いたいのに出ない」。
保護者も「何年も練習してきた」。

それでも “しつけ不足” とみられてしまう。


朝の支度で靴下だけ履けないDさん

👉 子どもは “分かってもらえない不安” を抱えている。

小学1年のDさんは、服は着られるのに靴下だけで毎朝止まってしまいます。
理由を聞くと、

  • 「タグが足に刺さる」
  • 「縫い目が気持ち悪い」
  • 「左右が少し違う感じがする」

と言うそうです。

大人から見ると普通の靴下でも、
本人には強い違和感があります。

結果として、

  • 登校前に泣く
  • 靴下を何度も脱ぎ直す
  • 「学校に行きたくない」につながる

ことがあるそうです。

毎朝のことなので、保護者も、
「早くして」と言いたくなってしまうことがあります。

でも、本人もまた、
“どうにか履こう” と頑張っている場合があります。

よっちゃん
よっちゃん

Dさんにとっては、”履きたくない” のではなく、
“痛くて耐えられない感覚” に近かったのかもしれません。


スーパーで突然座り込むEくん

Eくんは学校ですでに頑張り切っていて、
スーパーに来た時点で余力がなかったのかもしれません。

発達特性のある子は、
普通に見えても日常でかなり認知的エネルギーを使っています。

さらに重要なのは、
「言葉で説明できない負荷がある」場合が多いことです。

本人も “なぜ無理なのか” を説明できず、
結果として “座り込む” という形でしか表現できないときがあるんです。


美容院に入る直前になると泣き出す5歳のFくん

美容院そのものではなく、
いつも、髪を切られているときがつらい様子。

では、なぜ髪を切られる事がつらいのかは、
子どもによって苦手ポイントがかなり違うようです。

たとえば、

  • ハサミの「シャキシャキ音」が怖い
  • 髪が首に落ちる感覚が耐えられない
  • バリカンの振動が痛い
  • クロス(ケープ)の締めつけが苦しい
  • 耳の近くを触られるのが怖い

などがあります。

本人はうまく説明できずに、

  • 「ヤダ!」
  • 「怖い!」
  • 「痛い!」

だけになることが多いようです。

周囲からは、
「髪を切るだけなのに」と思われることもあります。

でも本人にとっては、”怖さ” や “不快感” が重なり、
身体が拒否反応を起こしている場合があります。

Fくんにとっては、髪を切ることそのものより、
“何をされるか分からない怖さ” が大きかったのかもしれません。


運動会の練習が始まる頃になると、朝から不安定になるGさん

本番当日。

みんなが音楽に合わせて動き始める中、
Gさんは、ただ立ち尽くしていました。

保護者席から見ていたお母さんは、
「頑張れ…」「少しでも動けたら…」

と、祈るような気持ちで見守っていたそうです。

でも周囲からは、
「やる気がないのかな」「練習してないのかな」「ふざけてる?」

という空気を感じることもあったと聞きました。

実際にはGさんにとって、

  • 大きな音
  • 人の多さ
  • 周囲の動き
  • “次に何をするのか分からない不安”
  • “失敗してはいけない緊張”

などで、
頭の中がいっぱいになっていたのかもしれません。

身体はそこにいても、
心は “耐えること” に必死だった。

でも、
その苦しさは周囲には見えにくいことがあります。


運動会のあと、お母さんは、
「どうして出来なかったの?」

ではなく、「今日は疲れたね」
と声をかけたそうです。

本当は、お母さん自身も、
周囲の視線に胸が苦しくなっていたかもしれません。

「みんなは出来ているのに」「うちの子だけ…」
そんな思いが頭をよぎることもあったと思います。

それでも、子どもが一番苦しかったことを、
お母さんは分かっていたのかもしれません。

周囲には、”立っているだけ” に見えても、
本人は、”崩れないよう必死に耐えている” ことがあります。


偏食が強いHさん

👉 保護者もまた、孤独の中で頑張っている。

たとえば外食先で、
子どもが一口も食べられず、保護者だけが何度も頭を下げている。

「すみません…」と言いながら、
本当は、一番つらいのは保護者自身かもしれません。

家では、食べられる物を探し、
少しでも栄養が取れるよう工夫し、
毎日悩みながら向き合っている。

それでも、「甘やかし」「好き嫌い」と言われてしまう。

理解されない苦しさは、子どもだけでなく、
保護者の心も少しずつ削っていくことがあります。


👉 「できない」の裏に、本人なりの限界や理由があると理解されるだけでも、
 子どもも保護者もかなり救われることがあります。


▶︎ 広告:フリースクール、通信制サポート校も運営をしており、不登校支援、発達障害による学習支援において、専門的な知見を持った対応が可能。


👉 結論:子どもは安心すると挑戦できる。


安心すると、子どもは少しずつ動き始める

発達特性のある子どもたちの行動の多くは、
“安心を求める行動” でもあります。

  • 急に泣き出す
  • 大きな声を出す
  • 順番が変わると動けなくなる
  • 同じことを何度も繰り返す

👉 子どもは、「理解された」と感じられたときに、少しずつ動き始めます。


“甘やかし” と “安心” は違う

“困った行動” の奥にあるものを知ることは、
子どもを甘やかすことではありません。

安心を与えることは、「なんでも許す」ではなく、
“安心した状態なら力を出せる” という前提を整えることです。


理解することが、支援の第一歩になる

発達特性のある子どもと保護者が傷つきやすいのは、
「困っていること」そのものではなく、

  • 努力不足と思われる
  • 怠けていると思われる
  • 愛情不足と思われる
  • “普通ならできる” 前提でみられる

ことです。


私は30年以上、運動指導の現場で、
たくさんの子どもたちと出会ってきました。

その中で感じているのは、

子どもは、「理解された」と感じられた時に、
少しずつ安心し、少しずつ動き始める、

ということです。

もちろん、毎日うまくいくわけではありません。
保護者も、疲れる日があります。

余裕を失う日もあります。
でも、”困った行動” の奥にあるものを知ろうとすることは、

子どもを甘やかすことではなく、その子が安心して生きていくための、
大切な土台になるのだと思います。


もし今、
「どうして伝わらないんだろう」「私の関わり方が悪いのかな」

と悩んでいるなら、まず知ってほしいのは
子どもも、そして保護者も、毎日ちゃんと頑張っている

ということです。

うまくいかない日があっても、
理解しようとする関わりは、決して無駄にはなりません。

苦しくなった時、
またこの記事を思い出してもらえたら嬉しく思います


  • ✔︎ 子ども自身も困っている
  • ✔︎ 行動には理由がある
  • ✔︎ 理解されないことが一番つらい
  • ✔︎ “直す” 前に “理解する”

この続きは、次の記事でさらに深くお伝えします。

次回(第2回)は、“あいまいな指示が苦しい子どもたち”

「ちゃんとして」「あとでね」「みんなと同じにして」
そんな “あいまいな言葉” が、なぜ苦しくなってしまうのか。

発達特性のある子どもたちの “分かりにくさ” について、
現場経験を交えながら書いてみたいと思います。

▶︎ ここまで読んでくださった方には、ぜひ次の記事も読んでいただきたいです。


▶︎ 今回の記事のコラムも、ぜひ、あわせて読んでみてください。


「どうして?」が、「そうだったんだ」に変わるとき、
子どもとの関わり方も、少しずつ変わり始めます。

このシリーズが、その小さなきっかけになれたら嬉しく思います。


最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


▶︎ 広告:フリースクール、通信制サポート校も運営をしており、不登校支援、発達障害による学習支援において、専門的な知見を持った対応が可能。


コメント

タイトルとURLをコピーしました