『 ひとりで頑張らなくていいんです! 』
〜 よっちゃんの ひとことコラム 〜
「私の育て方が悪いのかな…」と悩むお母さんへ
「先生…、私の育て方が悪いのでしょうか?」
この言葉を聞くたびに、私は少し胸がつらくなります。
なぜなら、その言葉を口にする保護者の方ほど、
子どものことを一生懸命に考えていることを、私は現場で何度も見てきたからです。
子どもが困っているときには、どうすればいいのかを考える。
学校で何かあれば、先生に相談する。
家でも声のかけ方を変えてみる。
生活の流れを工夫する。
できるだけ刺激を減らしてみる。
うまくいかなければ、また別の方法を考える。
そして翌朝になると、
「今日も大丈夫かな」と心配しながら、また一日を始める。
そんな毎日を過ごしている保護者の方は、決して少なくありません。
それなのに、うまくいかなかった日には、
「私の育て方が悪いのかな」と、自分を責めてしまう。
私は、そんな保護者の方に伝えたいのです。
あなたは、もう十分頑張っています。
子どもが頑張っている姿の、その隣には
運動教室では、子どもの変化を目にすることがあります。
今まで怖くて入れなかった場所に入れた。
途中で動けなくなっていた子が、最後まで参加できた。
先生の声を聞いて、自分から動き出した。
ほんの小さな変化です。
でも、その子にとっては大きな一歩です。
そして私は、そうした子どもの姿を見るたびに、
その子の隣にいる保護者の方の姿も思い浮かべます。
そこまで来るまでに、
- 何度も声をかけたでしょう
- 何度も待ったでしょう
- 何度も失敗したでしょう
- 「今日は無理かな」と思った日もあったでしょう
それでも、また次の日が来れば、
子どもの手を握って、一緒に歩いてきた。
子どもの「できた」という瞬間だけを見れば、
その一歩は小さく見えるかもしれません。
でも、その一歩の後ろには、
保護者が積み重ねてきた、数えきれない一日があるんです。
「家ではできない」は、失敗ではありません
以前、運動教室が終わったあと、一人のお母さんが話してくださいました。
「今日は最後まで参加できましたね」と、嬉しそうな声でした。
ところが、そのすぐあとに、
「でも……家では全然ダメなんです」と、少し寂しそうに笑われました。
「ちょっとしたことでパニックになるし、言っても聞いてくれないし…」
そして最後に、「私の育て方が甘いんだと思います」とおっしゃいました。
私は、その言葉を聞いて、「そんなことはありませんよ」と伝えました。
そして、「ここまで来るのに、お母さんもたくさん頑張ってきたんじゃないですか」
と続けました。
すると、お母さんの目から涙がこぼれました。
その涙を見て、私は思いました。
もしかすると、「家ではできない」という言葉は、
子どもを責めていたのではなかったのだと思いました。
頑張っているのに、うまくできない自分を責めていたんだと気づきました。
子どもは、安心できる場所で力を抜くことがあります
外では頑張っているのに、家に帰ると崩れてしまう。
学校では頑張っているのに、家では泣く。
教室ではできたのに、家ではできない。
そんな姿を見ると、
「どうして?」と思ってしまうかもしれません。
でも、家が一番安心できる場所だからこそ、
そこで緊張がほどけることがあります。
ずっと頑張っていた子どもが、家に帰ってようやく力を抜く。
それは、「家ではダメな子」ということではありません。
むしろ、「ここなら大丈夫」
と感じているからこそ、力が抜けているんだと思います。
もちろん、すべての行動がこれだけで説明できるわけではありません。
でも、「家ではできない」という姿を、「親の育て方が悪い」
と結びつける前に、
「この子は、どこで一番頑張っているんだろう」と考えてみる。
それだけでも、子どもの見え方は少し変わるのではないでしょうか。
比べなくてもいい
子育てをしていると、どうしても周りの子どもが気になります。
- 同じ年齢の子ができていること
- 友達が楽しそうにしていること
- SNSに流れてくる、家族の笑顔
「うちは、どうしてできないんだろう…」
そう思ってしまう夜もあるでしょう。
でも、SNSに写っているのは、その家族の一日ではありません。
その瞬間です。
笑顔の写真の前に、泣いた時間があったかもしれません。
うまくいかなくて悩んだ夜があったかもしれません。
親子で言い合いになった日もあったかもしれません。
画面には、その家庭の “見えない時間” は写りません。
だから、
見えている一瞬と、自分の生活全部を比べなくていいんです。
子どもには、その子の歩幅があります。
そして家族にも、その家族の歩幅があります。
早くなくていい。
誰かと同じでなくていい。
今日、一歩進めたなら、それで十分なんです。
完璧な親でなくてもいい
- 子どもに優しくしたい
- 怒らずに接したい
- いつも落ち着いていたい
そう思っていても、できない日があります。
- 疲れている日もあります
- 余裕がなくなる日もあります
- 思わず強い言葉をかけてしまう日もあります
そしてその夜、子どもの寝顔を見ながら、
「また怒ってしまった…」と自分を責めてしまう。
そんな経験をしたことがある方もいるでしょう。
でも、私は思います。
完璧な親であることより、
何度でも関係をつなぎ直せることのほうが大切なのではないでしょうか?
- 「さっきは怒ってごめんね」
- 「お母さんも余裕がなかったんだ」
- 「明日、また一緒にやってみようね」
それでいいんです。
失敗しないことではなく、失敗したあとで戻ってこれること。
それが子どもにとっては、大きな安心になるんです。
「助けてください」と言っていい
一人で頑張っていると、人に頼ることさえ難しくなります。
- 「こんなことで相談していいのかな…?」
- 「もっと頑張らなければ…」
- 「親なんだから、自分が何とかしなければ…」
そう思ってしまうからです。
でも、「助けてください」という言葉は、弱さではありません。
子どもを守るための勇気なんです。
- 学校の先生でもいい
- 療育の先生でもいい
- 運動教室の指導者でもいい
- 家族でも、友人でもいい
「どうしたらいいでしょう」と誰かに話してみること。
一人で抱えていたものを、誰かと一緒に考えてみること。
その一言で、目の前の景色が変わっていくんです。
支援は、親の代わりではありません
支援を受けることに、申し訳なさを感じる必要はありません。
なぜなら支援とは、「親ができないから、誰かに任せる」
ということではないからです。
私が考える支援とは、子どもを支える仲間を増やすことなんです。
一人では見つけられなかった方法を、一緒に探してくれる人がいる。
一人では抱えきれなかった気持ちを、受け止めてくれる人がいる。
「大丈夫。一緒に考えましょう」と言ってくれる人がいる。
そうすることで、保護者の心に大きな余白ができてくるんです。
そして、その余白が、子どもにも伝わっていくんです。
子どもの安心だけではなく、保護者の安心も
このシリーズでは、ずっと “安心” という言葉を大切にしてきました。
子どもは、安心すると挑戦できます。
安心すると、「やってみようかな」と思えるようになるんです。
でも、私は最後にもう一つ、お伝えしたいことがあります。
安心が必要なのは、子どもだけではありません。
子どもを支える保護者の方にも、安心が必要なんです。
- 「あなたは一人じゃない」
- 「あなたのせいではない」
- 「頼っていい」
- 「今日もよく頑張った」
そう言ってくれる人がいる。
そしてその一言で、張りつめていた心が、緩んでいくんです。
さらにその保護者の方の安心が、子どもへと返っていく。
私は、そんな親子の姿を、現場で何度も見てきました。
疲れた夜に、これだけ思い出してください
もし今、「私の育て方が悪いのかな」と悩んでいるなら、
今日だけは、自分を責めるのを少し休んでください。
そして、この4つの言葉だけ思い出してください。
- 私は、十分頑張っている
- 完璧な親にならなくていい
- 「助けてください」と言っていい
- 子どもだけではなく、私にも安心が必要
全部できなくても大丈夫です。
一つだけでも、心に残れば十分です。
最後に、保護者のあなたへ
私は30年以上、子どもたちと関わってきました。
たくさんの「できた」を見てきました。
たくさんの笑顔も見てきました。
でも、それと同じくらい、子どものことで悩み、
自分で自分を責め、それでも次の日には、
また子どもの手を握って歩いていく保護者の方の姿も見てきました。
私は、その姿を忘れることができません。
子どもが一歩進むまでには、
その後ろで、何十歩も歩いてきた人がいます。
何度も立ち止まり、何度も悩み、それでも、また歩き出した人がいます。
それが、あなたなんです。
だから、どうか覚えておいてください。
あなたは、
- 完璧でなくていいんです
- 疲れていいんです
- 泣いたっていいんです
- 迷っていいんです
- 人に頼ってもいいんです
そして、「今日はもう頑張れない」と言ってもいいんです。
それでも、あなたは子どもを大切に思っている。
その気持ちは、なくなりません。
子どもは、理解される安心の中で育っていきます。
そして、その安心は、子どもだけではなく、
保護者であるあなたが「一人ではない」と感じられることから始まるんです。
今日まで、本当にお疲れさまでした。
もしこの記事を読んで、他の保護者の方の顔が浮かんだなら、
その人に、そっとこの記事を届けてあげてください。
言葉が見つからなくても大丈夫です。
「あなたは一人じゃないよ」その気持ちだけでも、きっと伝わります。
そして、また疲れた夜が来たら、ここへ戻ってきてください。
ここでは、頑張らなくても大丈夫ですから。
思いっきり肩の力を抜いて、楽になさってくださいね。
▶︎ この記事が少しでも参考になった方は、ぜひ本編もあわせて読んでみてください。
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