〜 “出来た!” を育てる関わり 〜
こんにちは、よっちゃんです。
私は運動指導の現場に立って30年以上になります。
対象年齢は幅広く、4歳児から高齢の方までたくさんの方々に対して、運動の楽しさや体を動かす大切さを伝えています。
突然ですが、あなたが接している子どもたちの “安心出来る環境” とは、誰が作っているのか考えてみてください?
どうですか?
おそらく “保護者の方や、先生、友だち、周りの大人の方” と考えますよね?
ところが、最近子どもたちを見ていて感じることは、”安心は自分の中で育っていくもの” なんだということです。
大人が届けるものと考えていましたが、そうでもないのです。
そこで今回は、『子どもが自分で “落ち着ける、動ける” ようになる』(超重要!)3選 を、お伝えします。
- 子どもが安心出来る “環境、関わり方” を整える
- 成功をその場で言葉にすることで “自己肯定感が育つ”
- 成功も失敗も “成長の一部” として扱う
それでは、具体的な経験談をお話しします。
ひとりの男の子との時間
ある日の授業中に、課題がうまくいかなくて泣きそうになっている男の子がいました。
以前の私だったら、「大丈夫!もう一回やってみよう!」と励ましていたと思います。
でもその日は、少しだけ違う言葉をかけてみました。
「どうしたいのかな?」男の子はしばらく考えてから、「少しお水飲みたい!」と言いました。
私は、「いいね!」「それがいいね」と伝えました。
お水を飲んだあと、男の子は自分からボールを取りに行き、何事もなかったかのように練習を再開しました。
その背中を見ながら、”ああ、自分で安心のスイッチを押せたんだな” と、思いました。
子どもが自分で “安心” をつくる3つのステップ
「どうしたい?」と聞く
すぐにアドバイスをするのではなく、自分で “選ぶチャンス” を与えることが大切です。
「少し休みたい」「場所を変えたい」「他の練習がしたい」

これは “自己調整(セルフレギュレーション)” と呼ばれています。“自己調整” とは、大人が先回りして正解を教えることではなく、選べる余地を “用意すること” なのです。

とても高度な指導技術です。
感情が高ぶっている時は?
❌ すぐにアドバイスをする例
- 「落ち着きなさい!」
- 「深呼吸して!」
- 「そういう言い方はダメ!」

感情がピークの時には、言葉の処理が難しく、逆効果になります!
⭕️ 自分で選ばせる関わり方
- 「今どうしたいの? ① 少し一人になる ② ここに座る ③ 外の空気を吸う」
- 「指差しで選んでいいよ!」

感情をコントロールする方法を “選択する経験” によって学びます。

それが、”自己調整” につながるんです。
課題に取り組めない時は?
❌ すぐに支持をする例
- 「早くやりなさい!」
- 「集中しなさい!」
- 「この順番でやって!」
⭕️ 自分で選ばせる関わり方
- 「どこからやる? ① 簡単な練習 ② 好きな練習 ③ 5分だけやる」
- 「今は、① 一人でやる ② 先生に横にいてもらう。どっちがいい?」

“やる・やらない” ではなく、”どうやるか” を選ばせるのがポイントです。
失敗したあとは?
❌ すぐに解決策を与える例
- 「次はこうしなさい!」
- 「こうすれば良かったでしょ!」
⭕️ 自分で考えさせる関わり方
- 「次はどうしたいと思う?」
- 「同じことが起きたら、① 先生に聞く ② メモを見る ③ 友達に聞く。どれが良さそう?」

“失敗=修正できるもの” と学びます。

これも、”自己調整” につながるんです!
ルールや行動を守れなかった時は?
❌ 説教、または正論
- 「約束でしょ!」
- 「なんで守れないの!」
⭕️ 振り返りを一緒に学ぶ
「次はどうする? ① タイマーを使う ② 声をかけてもらう ③ 紙に書いておく」

“守れなかった” よりも、”次はどう工夫するか” に焦点を当てます。
自己調整を育てるための大切な前提!
- 正解は一つにしないこと
- 選択肢は2〜3個まで(多すぎないこと)
- 選んだ結果がうまくいかなくても責めないこと
- 「選んだね」「決められたね」とプロセスを承認すること
自己調整とは “我慢できること” ではありません。

今の自分の状態に気づいて、助け方・やり方を “選べること” です。
“出来た瞬間” を一緒に喜ぶ
「自分で落ち着けたね!」
「自分から戻れたね!」
「自分からお手伝い出来たね!」
と伝えることで子どもは、”自分で出来るんだ” という感覚を積み重ねていきます。

“出来て当たり前” という接し方は ❌ にしてください。
小さな “出来た” を見逃さずに共有する!
例:身支度が苦手な子
- 靴を左右間違えずに履けた
- 上着のチャックを正しく上げられた
関わり方
- 「今、自分でここまで出来たね!」
- 「前は手伝ってたところ、今日は一人でやれたね!」
結果よりも、”自分でやった部分を言葉にする” ことです。

すると、子どもにとっての達成感が “明確” になります!
大人の評価ではなく、事実を一緒に確認する!
❌ よくある褒め方
- 「えらいね〜!」
- 「すごいね〜!」
⭕️ 自己効力感につながる声かけ
- 「最後までやるって決めて、本当に終わらせたんだね!」
- 「途中でやめたくなったけど、続けるって選んだんだね!」

「すごい!」よりも “何が起きたかを一緒に振り返ること” が重要です!
子ども自身に「出来た!」を言語化してもらう!
例:課題が終わったあと
- 「今日は何が出来たと思う?」
- 「前と比べて、どこが変わったかな?」
言葉が難しい子には
- 「① 自分でやった ② 少し手伝ってもらった ③ ほとんど手伝ってもらった」などの選択肢を提示します。

子ども自身で発声し、何が出来たかを確認する作業です。

このようにアウトプットすることで、脳に記憶されていくんですね!
感情と成功体験を結びつける!
例:苦手な課題が出来たあと
- 「今、体はどんな感じ?」
- 「ドキドキしたけど、終わったね!」
その上で、
- 「ドキドキしてても、出来たね!」

“不安があっても出来る” という感覚が育ちます。
大人が “一緒に喜ぶ” 姿勢をはっきり示す!
例:片づけが出来たとき
- 笑顔で目線を合わせて
- 小さくガッツポーズ
- 「今の嬉しいな!片づけ出来たね!」

過剰に盛り上げずに、感情を共有する程度が効果的です。
失敗があっても “出来た部分” を残す!
例:途中で集中が切れた
- 「全部は出来なかったけど、5分は集中できたね!」
- 「前より長く座れたよ!」

“成功や失敗” ではなく、連続性のある成長として経験を保存します。
次の挑戦につなげる一言!
出来た直後に、
- 「次はどうしたい?」
- 「同じやり方で、また出来そう?」

“また出来そうという予感” が、自己効力感を強化するんですね!
大切な考え方!
- 出来た瞬間、間を空けずに共有すること
- 抽象的な称賛より、具体的な事実を伝えること
- 大人が評価者にならないこと
- 子ども自身が “自分で気づく” 手助けをすること

自己効力感は “成功体験の数” だけではありません。

“成功をどう意味づけてもらったか” で決まるんです!
失敗しても “戻れる” ことを教える
失敗したあとも、「もう一度やってみる?」「次はうまく出来るよ!」と迎えてもらえる経験が、次の挑戦への安心を育てます。

大切なのは、”失敗しないこと” よりも “戻ってこれること” です。
つまり、つまづいても自分を立て直せるという感覚(回復可能性)を、体験として残すことだといえます!
感情が爆発した後に “終わらせ方” を教える!
場面:怒って大声を出した
❌ よくある対応
- 「もうダメでしょ!」
- 「さっきの態度は許されない!」
⭕️ 戻ってこれる関わり
- 落ち着いた後に「今、ここに戻ってきたね!」
- 「さっきは大変だったけど、今は話せるね!」

問題行動ではなく “回復出来た瞬間” を可視化します。
パニック後の “再参加” を成功体験にする!
場面:授業中にその場から飛び出した
❌ よくある対応
- 「最後までいられなかった!」
⭕️ 戻ってこれる関わり
- 「途中で外に出たけど、戻ってこられたね!」
- 「戻るタイミング、自分で決められたね!」

戻った事実そのものを “成功” として扱うのがポイントです!
課題を投げ出した後に “続きから” を用意する!
場面:課題を途中でやめた
❌ よくある対応
- 「最初からやり直し!」
⭕️ 戻ってこれる関わり
- 「今日はここまで出来たね!」
- 「続きは今度ね!どこからやる?」

リセットではなく “継続を前提にすること” で、失敗への恐怖が下がります。
“やり直せる選択肢” を最初から提示する!
場面:授業や課題の前
- 「途中で止まってもいいよ!」
- 「一度座って、また続けてもいいよ!」

最初から “逃げ道” を許可すると、挑戦しやすくなります!
大人が “戻ってくるモデル” を見せる!
場面:大人自身が失敗した時
- 「あ、間違えた!最初からやり直すね!」
- 「一回止めて、また始めるよ!」

失敗 → 調整 → 再開を、言語化してみせます。
「失敗」ではなく「中断」という言葉を使う!
❌ よくある言葉
- 「失敗した」
⭕️ 戻ってこれる言葉
- 「途中で止まった」
- 「一回休憩した」

言葉そのものが経験の意味を決めるため、回復可能な表現を選びます。
戻れた回数を積み重ねて振り返る!
振り返りの例
- 「今日は2回戻ってこれたね!」
- 「前より早く戻れたね!」

完璧さではなく、回復の上達に目を向けよう!
大切なメッセージ!(子どもに伝わる形)
- 失敗しても、居場所はなくならない
- 途中で止まっても、続きはある
- 戻ってきたら、またやり直せる

“失敗しない子” を育てるのではなく “崩れても立て直せる子” を育てます。
これは、発達障害の特性の有無に関わらず、生涯役に立つ力です。
おわりに
安心を与えることから始まったこの “学びの旅”。
気づけば、子どもたちは少しずつ、自分で安心を見つけられるようになっていました。
私たち大人が出来るのは、その “見つける力” を言じて待つこと。
そして、見つけた瞬間を見逃さずに 「それでいいよ!」と伝えること。
“安心のスイッチ” は、私たちが押してあげるものではなく、子ども自身が見つけて押すもの。
その手助けをするのが、運動指導者としての大切な役目なのだと実感しています。
次回は、これまでの掲載5回分をひとつの流れとして再構成した “特別版(シリーズまとめ)記事” で振り返ります。
まとめ
- ✅ 子どもが安心出来る “環境・関わり方” を整える
- ✅ 成功をその場で言葉にすることで “自己肯定感” が育つ
- ✅ 成功も失敗も “成長の一部” として扱う
私と同じように、指導に悩んでいる若い(経験の浅い)先生やコーチの方へ、”ほっとする” ような温かいヒントをお届けできたなら嬉しいです。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。


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