〜 運動指導の見え方がかなり変わる (6)〜
『 何気ない一言が、その子の “自分” になる! 』
子どもへの声かけは、毎日の中に溶け込んでいます。
“励ましたつもりの一言” や “思わず出てしまった注意の言葉” など。
けれどその言葉が、子どもの中にどれくらい長く残るかを、私たちはどれほど意識しているでしょうか?
特に発達特性のある子どもは、感情と記憶が強く結びつきやすいと言われています。
だからこそ、そのたった一言が “自分は出来ない” という思い込みにもなり、逆に “自分はやれる” という支えにもなります。
そこで今回は、“なぜ指導者の言葉が長く残るのか?” を整理しながら、現場で大切にしたい “言葉の渡し方” について考えていきます。
感情記憶が強く残りやすい

なぜ指導者の一言が子どもに長く残るのか?主に3つの理由があります。
人の脳は、
- 楽しかったこと
- 怖かったこと
- 恥ずかしかったこと
など、“感情が強く動いた出来事” を強く記憶します。
発達特性のある子は、感覚や感情の反応が強いことがあり、
- 強く叱られた
- みんなの前で注意された
といった出来事が “長く記憶に残る” ことがあります。
言葉をそのまま受け取る
発達特性のある子は、
- 冗談
- 比喩
- 暗黙の意味
を読み取ることが苦手なことがあります。
そのため「なんで出来ないの?」という言葉を “文字通りの意味” で受け取ることがあります。
すると子どもの中で、

“自分は出来ない子なんだ” という理解になってしまうことがあります。
自己評価に影響しやすい
子どもは “大人の言葉で自分を理解します”。
特に、
- 先生
- 指導者
- コーチ
の言葉は強く影響します。
発達特性のある子は、
- 失敗経験が多い
- 注意されることが多い
そのため、“一つの言葉が自己評価を決めてしまう” こともあります。
逆に言うと
“怖かったこと、恥ずかしかったこと” だけが影響するわけではありません。

その “一つの言葉が、その子を支えることもあります”。
例えば、
- 「今の動き、良かったよ」
- 「少しずつ出来てるね」
- 「君はチャレンジ出来る子だね」
こうした言葉は、子どもの中で “長く残る支え” になることがあります。
現場でよく起きる瞬間
多くの大人が、大人になってからも覚えているのは、
- 小学校の先生の一言
- 部活のコーチの言葉
だったりします。

なぜか? その理由は “体験と感情が一緒に記憶されるから” です。
特に運動の場は、
- 体を動かす
- 仲間がいる
- 成功や失敗がはっきりする
そのため、記憶に残りやすい環境なんです。
指導者が持つ大きな力
だからこそ、運動指導者は “子どもの人生に長く残る言葉” を渡せる存在でもあります。
“安心のバトンを渡していく” という表現は、とても象徴的です。
子どもは、
- 安心出来た経験
- 認められた経験
を次の場所へ持っていきます。
おわりに
指導は、その場で終わるものではありません。
そのとき交わされた言葉は、子どもの中で何度も思い出され、やがて “自分とは何か” を形作っていきます。
だからこそ私たちは、完璧な言葉を探す必要はありません。
ただ、その子が次の一歩を踏み出せる言葉かどうか。
安心して戻ってこられる言葉かどうか。
そこに目を向けることが大切なのだと思います。
子どもたちは、受け取った言葉を胸に、次の場所へ進んでいきます。

その時渡しているのは、技術だけではなく “安心のバトン” なのかもしれません。
次回は、“負けて荒れる子はどう伸ばす?ADHDの特性を踏まえた運動指導の工夫” をお話しします。
実は、我々運動指導者が一番悩むのは “負けた時に崩れる子” です。


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