〜 運動指導の見え方がかなり変わる (8)〜
『 “この子はルールが苦手” 本当にそうでしょうか? 』
「ルールを守りなさい」と伝えても、うまくいかない。何度も同じことを注意してしまう。
そんな場面で “この子はルールが苦手なんだ” と感じたことはないでしょうか?
しかし、現場で子どもたちと向き合い続けると、ある “逆の事実” に気づきます。
それは、“発達特性のある子ほど、実はルールを大事にしている” ということです。
ではなぜ “守れない姿” と “大事にしている気持ち” が同時に存在するのでしょうか?
その背景を知ることで、子どもへの見え方も、関わり方も、大きく変わっていきます。
ルールは “安心出来る道しるべ” だから
発達特性のある子どもにとって、
- 先の見通しが立たない
- 状況の変化が読みにくい
- 曖昧な指示が理解しづらい
こうした環境は、大きな不安になります。
だからこそ、
「こうすればいい」
「ここまでやればいい」
と明確に示されるルールは、世界を理解するための “地図” になるのです。

つまりルールは、“縛るものではなく、安心するための支え” なのです。
“例外” より “一貫性” を求める特性
多くの子どもは、
- 「今日はいいよ」
- 「今回は特別ね」
といった “例外” を柔軟に受け入れます。
しかし発達特性のある子は、“ルールは常に同じであるべきもの” として捉える傾向があります。
そのため、
- 人によって言うことが違う
- 日によってルールが変わる
こうした状況に強いストレスを感じます。
そして時には “ルールを守らない大人” に違和感を覚えることもあります。
これは反抗では無く、”世界を一貫して理解しようとする力” の表れです。
“正しさ” に対する感覚が強い
発達特性のある子の中には、“善悪やルールに対する感覚がとてもクリア” な子がいます。
だからこそ、
- ズルをする
- 順番を守らない
- 決まりを破る
といった行為に対して、強い違和感や怒りを感じることがあります。
これは “わがままでも、融通が利かないわけでもなく”、

“正しさを大切にしている” 姿なんです。
“守れない” のでは無く “守り方が分からない” だけ
ここで大切な視点があります。
それは、ルールを大事にしている子ほど、実は “守れないこと” に苦しんでいるということです。
例えば、
- ルールは理解している
- 守りたい気持ちもある
それでも、
- 衝動性
- 感覚の過敏さ
- 切り替えの難しさ
によって行動が追いつかないことがあります。
このとき周囲は “ルールを守らない子” と見てしまいがちですが、

本当は “守りたいのに守れない” 葛藤の中にいるんです。
指導者に求められる関わり方
この特性を理解すると、関わり方は大きく変わります。ポイントは3つです。
ルールは “具体的” に伝える!
曖昧な表現ではなく、
- 「ここに並ぶ」
- 「3回まで」
- 「笛が鳴ったら止まる」
と、行動レベルで示すこと。
一貫性を大切にする!
人や場面によって変わるルールは混乱を生みます。”いつも同じ” が信頼につながります。
守れた瞬間を見逃さない!
当たり前に見える小さな成功こそ、本人にとっては大きな一歩です。
「今、守れたね」この一言が、次の行動を支えます。
おわりに
発達特性のある子どもたちは、決してルールが苦手なのではありません。
むしろ “誰よりもルールを必要とし、誰よりもルールを大切にしようとしている存在” です。
だからこそ私たち大人に求められるのは、ルールで縛ることでは無く、

ルールを “安心” に変えていく関わり方です。
まとめ
ルールとは、本来 “守らせるためのもの” では無く、人が安心して関われるための土台です。
発達特性のある子どもたちは、
その土台を誰よりも必要とし、誰よりも大切にしようとしているのかもしれません。
だからこそ私たちに出来るのは、

“守れていない部分” を指摘することでは無く、“守ろうとしている気持ち” に気づくことです。
その視点を持てた時、ルールは指導の道具から、子どもとつながる “橋” へと変わっていきます。
“守れない子” では無く “守りたい気持ちを抱えている子” として見ること。
そこから、すべての関わりは変わり始めます。

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