〜 声のトーンで変わった、“あの日の空気” 〜
【全6回シリーズ・子どもとの関わり方】第2期 第1回
こんにちは、よっちゃんです。
「また、強く言ってしまった…」
教室がざわつく中で、思わず声を張ってしまう。
「静かにして!」
「ちゃんと並んで!」
その瞬間は、
場が整ったように見える。
でもそのあと、どこかに残る違和感。
子どもたちの表情が、少しだけ固くなる。
自分の中にも、かすかな後悔が残る。
そんな経験はありませんか?
私自身、
30年以上指導(コーチ)を続けてきました。
それでも、
発達特性のある子どもたちとの関わりの中で、
「どうすれば、この子に伝わるんだろう?」と、
何度も立ち止まってきました。
そして気づいたのです。
“安心が大切” それは分かっている。
でも、“安心って、どうやって作るんだろう?”
そこに、大きな壁がありました。
今回の記事は、
『 “やってみる” ことから始めた最初の実践』3選 を、お伝えします。
- 声の “トーン” を下げるだけで、安心は生まれる
- 「でも大丈夫」は、信頼がある証
- “挑戦” は、安心の中から生まれる
▶︎ この記事はシリーズの一部です。全体の考え方をまとめて読みたい方はこちら👇
▶︎ この記事は、30年以上、4歳児から高齢者まで指導してきた現場経験をもとに書いています。
その日、私は “声” を変えてみた
ある日の運動教室。
子どもたちは落ち着かず、列もバラバラ。
いつも通りなら、
私はきっと声を張っていたと思います。
でも、その日は違いました。
一度、深呼吸をして。
ほんの少しだけ、
声の高さを落としてみたのです。
「準備できた人から、こっちで待っててね」
不思議なことが起きました。
ざわつきが、
少しずつ静まっていったのです。
誰も怒られていないのに、
誰も急かされていないのに、
空気が、変わっていきました。
そのとき、
初めて実感しました。
安心は、”言葉” ではなく、”音” でも伝わる。
なぜ、声のトーンで子どもは変わるのか?
発達特性のある子どもは、
- 音や刺激に敏感だったり
- 声の強さを、そのまま感情として受け取ったりします
つまり、
「何を言われたか」よりも、
“どんな音で届いたか” の方が、
強く残ることがあるのです。

“内容” よりも
“声の質” に反応するんです。
たとえば
「ちゃんと聞いて!」
この言葉は、正しい指示です。
でも、
強く高い声で届いた瞬間、
子どもにとっては、
“怒られた” という体験 に変わります。
逆に、
少し低く、ゆっくりと。
「今から…ひとつだけ、大事なことを言うよ」
そう伝えると、
子どもは自然と耳を傾け始めます。
声を上げると、注意を引ける。
でも、声を下げると、心が開く。

低い声は、
“安心、共感、待ってもらえる感覚” を伝えます。
“大丈夫” が届かなかった、あの子へ
跳び箱の前で、
動けなくなっている子がいました。
「大丈夫、いけるよ!」
そう声をかけても、
その子は動きません。
むしろ、身体が固くなっていく。
そのとき、私はしゃがんで、
目線を合わせて、少し低い声でこう言いました。
「怖いよね」
「ゆっくりでいいよ」
その子は、
何も言いませんでした。
でも、
少し呼吸が落ち着いて、
ほんの一歩だけ、前に出ました。
“できた” わけではありません。
でもそこには
“自分で進んだ” という、
小さな変化がありました。
運動指導者(あるいは保護者)として!
- 声は “音の刺激”
- 高い声=覚醒を上げる
- 低い声=覚醒を下げる
- 落ち着いてほしいときほど、トーンを下げる

運動指導者(保護者)は子どもと身体を通して関わるため、技術よりも “場の空気を整える力” が影響を与えます。
うまくいかなかった日、もらった言葉?
もちろん、
いつも上手くいくわけではありません。
優しく言ったつもりでも、伝わらない日。
結局、また強く言ってしまった日。
そんな日も、あります。
ある日、
私は子どもに聞きました。
「さっきの先生の言い方、どうだった?」
その子は、
少し考えてから、こう言いました。
「ちょっと怖かった」
「でも、やさしくなったから大丈夫だった」
その言葉を聞いたとき、
私は、はっとしました。
“怖かった。でも、大丈夫だった”。
この「でも」の中に、
すべてが詰まっている気がしたのです。
「でも」がある関係は、壊れない
子どもは、
- 怖さを感じたことを言葉にできた
- それでも関係が続いていると感じている
つまり、
“関係は壊れていない” のです。
そしてもう一つ。
「大丈夫だった」という言葉の中には、
- 戻ってきてくれた
- 見捨てられなかった
- もう一度、安心できた
という体験が含まれています。
発達特性をもつ子どもは、
- 声の変化に敏感
- 感情の揺れを強く受け取る
- “怒られた = 嫌われた” と結びつきやすい
だからこそ、”強い口調になってしまった後に、戻れること” が大切なのです。

これは “非常に重要なこと” です。
「できた!」より、「落ち着いてできた!」
最近、
私は見るポイントを変えました。
できたかどうかではなく、
“どういう状態でできたか”
を見るようにしたのです。
跳び箱で失敗したあと、
ある子が、
深呼吸をして、もう一度並び直しました。
私は、こう言いました。
「今の、いいね」
その子は、
少し驚いた顔をして、
照れくさそうに笑いました。
褒めたのは “成功” ではありません。
“自分で戻れたこと” でした。
子どもが見てほしいのは、”結果” ではない
子どもは、
“できたから認められた” と感じるのではなく、
“自分を見てもらえた”
と感じたときに、動き出します。
“できる” より、”安心してできる”。
それが、
本当の意味での成長なのかもしれません。
だから、子どもは
- 失敗しても
- うまくいかなくても
安心できる場所であれば、もう一度、挑戦しようとします。
なぜ “安心してできる” が大切なのか?
発達特性のある子どもは、
- 失敗体験が積み重なりやすい
- 周囲と比べられやすい
- “できない自分” を強く意識しやすい
だからこそ、”成功体験” よりも “安心体験が土台” になります。
- 「失敗しても大丈夫」
- 「気持ちは戻せる」
- 「ここでは急がなくていい」

この感覚があると、
挑戦は “怖いもの” ではなくなります。
挑戦は “安心” からしか生まれない
「できる」は、結果です。
「安心してできる」は、土台です。
土台があるから、崩れない。
崩れないから、もう一度やれる。
そしてその積み重ねが、
技術だけではない、
“その子自身の強さ” になっていきます。

私たちが見ているのは、子どもの “技術” ではなく、その子の “内側の動き” です。
おわりに
「やってみよう」
から始めた、小さな一歩。
それは、
特別な技術ではありませんでした。
ただ、
声を少しだけ下げてみた。
それだけでした。
それでも、
怒鳴らなくても伝わる瞬間が増え、
待てば動く場面が増え、
子どもたちの表情が、
少しずつ変わっていきました。
完璧でなくていい。
うまくいかない日があってもいい。
大切なのは、
戻ってこられる関わり。
子どもは、
変わろうとしているのではなく、
安心できる場所を探しているのかもしれません。
その場所をつくる一歩として。
今日、
ほんの少しだけ、声のトーンを下げてみる。
きっとそこから、
何かが静かに、動き始めます。
まとめ
- 声の “トーン” を下げるだけで、安心は生まれる
- 「でも大丈夫」は、信頼がある証
- “挑戦” は、安心の中から生まれる
この続きは、次の記事でさらに深くお伝えします。
次回(第2回)は、
“子どもは言葉より”空気”で動く?安心を生む場づくり4つの工夫”。
子どもたちが安心して活動できる”空気のデザイン” についてお話しします。
▶︎ ここまで読んでくださった方には、ぜひ次の記事も読んでいただきたいです。
▶︎ 今回の記事のコラムも、ぜひ、あわせて読んでみてください。
このブログでは、
現場での気づきや改善の工夫、子どもたちとの温かいやり取りを通して、
“寄り添う指導” のあり方や、”寄り添う関わり方” を考えていきます。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。





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